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December 24, 1998 Vol. 339 No. 26

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不安定狭心症患者用胸痛観察室に関する臨床試験
A CLINICAL TRIAL OF A CHEST-PAIN OBSERVATION UNIT FOR PATIENTS WITH UNSTABLE ANGINA

M.E. FARKOUH AND OTHERS

背景

不安定狭心症で入院した患者の半数近くは,最終的に心臓に関連しない診断を受ける一方で,心筋梗塞患者の 5%は,救急部から不適切に退院している.われわれは,そのような患者を救急部内に設置した胸痛観察室(CPU)に入室させた場合の安全性,有効性,および費用を評価した.

方 法

短期の心血管イベントリスクが中程度と思われる不安定狭心症患者を,通常の入院をさせた場合と比較して,CPU に入室させた場合の安全性,有効性,および費用に関するコミュニティベースの前向き無作為化試験を行った.適格患者 424 例を,通常の入院(循環器科の管理下でモニター付きベッドを使用)をさせる群と,CPU に入室させる(厳密なプロトコルのもとで,アスピリン投与,ヘパリン投与,持続的 ST モニタリング,クレアチンキナーゼイソアイソザイムの定量,6 時間の観察,心機能検査などを行う)群に無作為に割り付けた.CPU は救急部のスタッフが管理した.検査結果が陰性であった患者は退室・帰宅させ,陽性であった患者は入院させた.主要転帰(非致死的心筋梗塞,死亡,急性うっ血性心不全,卒中発作,院外心停止)および医療資源の利用を 2 群間で比較した.

結 果

主要転帰イベントは,入院群の 212 例では 15 件(心筋梗塞 13 件,うっ血性心不全 2 件)発生し,CPU 群の 212 例では 7 件(心筋梗塞 5 件,心血管系の原因による死亡 1 件,うっ血性心不全 1 件)発生した.心イベントの発生率には 2 群間に有意差を認めなかった(入院群と比較した CPU 群の オッズ比,0.50;95%信頼区間,0.20~1.24).CPU 群に割り付けられ,退室・帰宅となった 97 例には主要転帰イベントは発生しなかった.最初の 6 ヵ月間の医療資源の利用は,入院群に割り付けられた患者のほうが CPU 群に割り付けられた患者よりも多かった(順位和検定で p=0.003).

結 論

救急部内に設置する CPU は,心血管イベントのリスクが中程度と思われる不安定狭心症患者が適切な治療を受けられるようにするための,安全かつ有効,そして費用節減効果のある手段となりうる.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1998; 339 : 1882 - 8. )