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August 13, 1998 Vol. 339 No. 7

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急性冠症候群患者におけるエプチフィバチドによる血小板糖蛋白 IIb/IIIa の抑制
INHIBITION OF PLATELET GLYCOPROTEIN IIb/IIIa WITH EPTIFIBATIDE IN PATIENTS WITH ACUTE CORONARY SYNDROMES

THE PURSUIT TRIAL INVESTIGATORS

背景

血小板凝集は急性冠症候群の病態生理学的な本態である.合成環状ヘプタペプチドであるエプチフィバチドは,血小板凝集に関与する血小板糖蛋白 IIb/IIIa 受容体の選択的高親和性抑制剤である.われわれは,ST 部分の持続的上昇を示さない急性冠症候群患者において,エプチフィバチドによる血小板凝集の抑制は,有害転帰の発生率減少に関して,ヘパリンとアスピリンによる抑制を上回る増益効果をもたらすという仮説の検討を試みた.

方 法

24 時間前以内に虚血性胸痛を訴え,虚血を示す心電図変化(ST 部分の持続的上昇は含まない),またはクレアチニンキナーゼ MB アイソザイムの高血清濃度のいずれかを示す患者を試験に登録した.二重盲検的に患者を無作為割付けし,標準療法に加えて,エプチフィバチドまたはプラセボのいずれかの 1 回静注または点滴注射を 72 時間まで実施した(72 時間目の終了時近くに冠動脈介入を実施した場合には 96 時間まで).主要エンドポイントは,指標となるイベント後 30 日までに発生した死亡と非致死的心筋梗塞の複合指標であった.

結 果

1995 年 11 月~1997 年 1 月に,患者 10,948 人を登録した.プラセボ群と比較すると,エプチフィバチド群の主要エンドポイントの発生率は,絶対値で 1.5%減少した(14.2%に対しプラセボ群では 15.7%;p=0.04).利益は 96 時間までに現れ,30 日間持続した.効果は,女性を除くほとんどの主要なサブグループにおいて一貫していた(死亡または非致死的心筋梗塞に関するオッズ比,男性では 0.8 [95%信頼区間,0.7~0.9],そして女性では 1.1 [0.9~1.3]).出血性発作の発生率に増加を認めなかったものの,エプチフィバチド群ではより一般的に出血を認めた.

結 論

ST 部分の持続的上昇を示さない急性冠症候群の患者では,エプチフィバチドによる血小板凝集抑制により,死亡または非致死的心筋梗塞の複合的エンドポイントの発生率が低下した.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1998; 339 : 436 - 43. )