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April 15, 1999 Vol. 340 No. 15

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ステージ IB の巨大子宮頸癌に対するシスプラチン,放射線照射,およびアジュバント子宮摘出術の併用と放射線照射とアジュバント子宮摘出術の併用の比較
Cisplatin, Radiation, and Adjuvant Hysterectomy Compared with Radiation and Adjuvant Hysterectomy for Bulky Stage IB Cervical Carcinoma

H.M. KEYS AND OTHERS

背景

ステージ IB の大きな腫瘍の子宮頸癌は,ステージ I の小さな子宮頸癌よりも予後が悪い.婦人科領域腫瘍学グループ(the Gynecologic Oncology Group)では,放射線療法中にシスプラチンを 1 週間 1 回の割合で点滴することによって,ステージ IB の巨大子宮頸癌の患者の無進行生存と全生存が向上するかどうかを調べるための試験を実施した.

方 法

ステージ IB の巨大子宮頸癌(腫瘍,≧直径 4 cm)の女性を,単独またはシスプラチン(体表面積当り 40 mg/m2 を 1 週間に 1 回,最大で 6 回投与; 1 週間の最大用量,70 mg)との併用での放射線療法に無作為に割り付けた.なお,これらの放射線療法の終了後に,患者の全例に対してアジュバント子宮摘出術を施行した.コンピュータ断層撮影(CT)スキャンあるいはリンパ管造影によってリンパ節腫脹を示す所見が得られた女性は,組織学的検査でリンパ節への転移がないことが示されない限り不適格とした.体外からの骨盤照射および腔内照射の総照射線量は,A 点(子宮頸部の子宮傍結合組織)には 75 Gy,B 点(骨盤壁)には 55 Gy とした.シスプラチンは体外照射の期間中に投与し,アジュバント子宮摘出術はその 3~6 週間後に実施した.

結 果

放射線療法の単独治療に割り付けられた 186 例の女性と比較して,放射線療法とシスプラチンの化学療法の併用治療に割り付けられた 183 例の女性における癌の進行および死亡の相対危険度は,それぞれ 0.51(95%信頼区間,0.34~0.75)および0.54(95%信頼区間,0.34~0.86)であった.4 年目における無進行生存率(p<0.001)と全生存率(p = 0.008)は,併用療法群で有意に高かった.併用療法群では,一過性の Grade 3(中等度)および Grade 4(高度)の血液系の有害作用(21%,これに対して放射線療法の単独療法群では 2%)と消化器系の有害作用(14% 対 5%)の発現頻度が高かった.

結 論

ステージ IB の巨大子宮頸癌の女性において,子宮摘出術を伴う骨盤への放射線療法に 1 週間に1 回の割合でシスプラチンの点滴を併用すると,癌の再発および死亡のリスクが有意に低下した.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1999; 340 : 1154 - 61. )