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May 20, 1999 Vol. 340 No. 20

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ミネソタ州におけるキノロン耐性 Campylobacter jejuni 感染症,1992~1998 年
Quinolone-Resistant Campylobacter jejuni Infections in Minnesota, 1992–1998

K.E. SMITH AND OTHERS

背景

ヒトから分離されたカンピロバクターの臨床分離株において,キノロンに対する抵抗性が増していることが欧州とアジアで報告されているが,米国ではそのような報告はされていない.そこで,われわれは,1992~98 年までのあいだにミネソタ州の住人から分離されたカンピロバクターの臨床分離株について,キノロンに対する抵抗性を評価した.

方 法

ミネソタ州保健局(the Minnesota Department of Health)が受領したヒトからのカンピロバクター分離株 4,953 株すべてについてナリジクス酸に対する抵抗性を調べた.さらに,これらの臨床分離株の耐性株と,選別した感受性株について,シプロフロキサシンに対する抵抗性も調べた.1996~97 年にシプロフロキサシン耐性 Campylobacter jejuni が分離された患者を対象とする比較研究を実施した.キノロン耐性カンピロバクターの発生源の可能性の一つとして,国産鶏肉についての評価も行った.

結 果

ヒトから分離された C. jejuni のキノロン耐性株の割合は,1992 年には 1.3%であったのが,1998 年には 10.2%に増加していた(p<0.001).キノロン耐性 C. jejuni による感染症は,1996~97 年のあいだには,海外旅行および便検体を採取する以前にキノロンを使用したことと関連していた.しかしながら,1996~98 年の耐性株感染患者のうち,キノロンが使用されたのは 15%未満であった.米国内で感染したキノロン耐性菌感染症の件数も,1996~98 年までのあいだに増加していた.小売り市場から入手した国産鶏肉食品の 91 製品については,1997 年には,その 14%からシプロフロキサシン耐性 C. jejuni が分離された.分子サブタイピングから,鶏肉食品から分離された耐性 C. jejuni 株と,ミネソタ州の住人における国内感染による感染症とのあいだに関連があることが示された.

結 論

ミネソタ州におけるキノロン耐性 C. jejuni 感染症の増加は,その多くは,海外旅行中に感染した感染症によるものである.しかしながら,米国内での感染によるキノロン耐性菌感染症の件数も増加しており,これは,主に食用飼鳥類からの耐性株に感染したことよるものであった.食用飼鳥類に対するフルオロキノロンの使用は,米国では 1995 年に開始されたが,この食用飼鳥類が耐性 C. jejuni の保有宿主の一つとなっていた.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1999; 340 : 1525 - 32. )