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June 17, 1999 Vol. 340 No. 24

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南アフリカの黒人癌患者におけるヒトヘルペスウイルス 8 に対する抗体
Antibodies against Human Herpesvirus 8 in Black South African Patients with Cancer

F. SITAS AND OTHERS

背景

ヒトヘルペスウイルス 8(HHV-8)の感染は,カポジ肉腫との関連が一貫して示されているが,その伝播様式,そのほかの癌との関係,およびヒト免疫不全ウイルス 1 型(HIV-1)との相互作用については,ほとんどわかっていない.

方 法

1992 年 1 月~ 1997 年 12 月までの期間に,南アフリカのヨハネスバーグとソエトの黒人癌患者 3,591 例に問診を行った.3,344 例の患者について血液検査を行い,HIV-1 および HHV-8 に対する抗体の検出を行った.HHV-8 の抗体は,間接螢光抗体法による免疫螢光測定法で検出した.螢光発光の強度には抗体価との高い相関関係があった(p < 0.001).抗 HHV-8 抗体の存在,社会人口学および行動因子,癌種,および HIV-1 感染症併発の有無について,それらの関係を条件なしロジスティック回帰モデルを用いて調べた.

結 果

カポジ肉腫以外の癌の被験者 3,293 例については,HHV-8 抗体の標準化血清有病率は 32%であったが,この血清有病率は,黒人献血者の標準化血清有病率と有意に異なった値ではなかった.また,これらの 3,293 例の患者では,HHV-8 抗体の有病率は,年齢が高くなるほど(p < 0.001),性交渉の相手がふえるほど(p = 0.05)上昇し,教育期間が長くなるほど(p = 0.07)低下した;この有病率は,HIV-1 感染との関連は強くなかった.抗 HHV-8 抗体は,白人献血者よりも黒人献血者で多く認められた(p < 0.001).カポジ肉腫の患者 51 例では,HHV-8 抗体の標準化血清有病率は 83%と,カポジ肉腫以外の患者の有病率よりも有意に高かった(p < 0.001).多発性骨髄腫(108 例)や前立腺癌(202 例)などの他の 16 種類の癌では,それらの HHV-8 抗体の標準化血清有病率に大きな差は認められなかった.カポジ肉腫の発症は,任意の抗 HHV-8 抗体の螢光強度において,HIV-1 陰性患者よりも HIV-1 陽性患者で多かった(p < 0.001).

結 論

南アフリカの黒人癌患者では,抗 HHV-8 抗体の血清有病率が高く,この有病率とカポジ肉腫との特異的な関連が,とくに,その高抗体価において認められた.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1999; 340 : 1863 - 71. )