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January 28, 1999 Vol. 340 No. 4

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メディケア(老齢者医療保障制度)受給者におけるケアの費用および質に与える研修病院入院の影響
EFFECTS OF ADMISSION TO A TEACHING HOSPITAL ON THE COST AND QUALITY OF CARE FOR MEDICARE BENEFICIARIES

D.H. TAYLOR, JR., D.J. WHELLAN, AND F.A. SLOAN

背景

メディケア(老齢者医療保障制度)から保障を受けている患者(年齢,65 歳以上)において,ケアの費用および質に対する研修病院に入院することの影響について検討した.

方 法

全国長期ケア調査(National Long Term Care Survey)のデータを使用し,これらのデータとメディケアの保険請求のデータを併合した.1984 年の 1 月 1 日から 1994 年の 12 月 31 日までに発症した股関節骨折(802 例),発作(793 例),冠動脈心疾患(1,007 例),うっ血性心不全(604 例)の初回入院を選び出し,各患者の入院後 6 ヵ月間の入院および外来で受けたケアに対するメディケアの支払い総額を計算した.生存に関しては 1995 年末までの追跡調査によって評価した.病院は,大規模または小規模の研修病院(小規模研修病院は,1 床当りの研修医の人数が全研修病院の中央値よりも少ない病院と定義した),あるいは私立の非営利,政府関連(すなわち,公立)または私立の営利目的の病院に分類した.

結 果

入院後 6 ヵ月間のメディケアの支払い額は,股関節骨折,発作,または冠動脈心疾患の治療で研修病院に最初に入院した患者,およびうっ血性心不全の治療で営利目的の病院に最初に入院した患者でもっとも高かった.営利目的の病院の支払い額と比較すると,股関節骨折の大規模研修病院への支払い額が有意に高く,冠動脈心疾患の政府関連病院への支払い額と,うっ血性心不全の政府関連および非営利の病院への支払い額が低かった.患者特性と社会補助金で補正すると,大規模研修病院の死亡率がもっとも低くなった(営利目的の病院と比較したときの死亡のハザード比,0.75;95%信頼区間,0.62~0.91).これを疾患別にみると,大規模研修病院に入院したことによる唯一有意であった.生存の向上は,股関節骨折で認められた(営利目的の病院と比較したときのハザード比,0.54;95%信頼区間,0.37~0.79).

結 論

大規模研修病院への入院は,メディケアのプログラムに対する医療費の増加に関連している可能性があるが,われわれが今回検討した一般的な疾患の患者全体の生存は,これらの大規模研修病院で向上していた.とくに股関節骨折の患者での向上が大きかった.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1999; 340 : 293 - 9. )