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January 7, 1999 Vol. 340 No. 1

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退役軍人病院・診療所の利用率における地理的ばらつき
GEOGRAPHIC VARIATIONS IN UTILIZATION RATES IN VETERANS AFFAIRS HOSPITALS AND CLINICS

C.M. ASHTON AND OTHERS

背景

米国では,病院の利用に地理的ばらつきがあることが多い.退役軍人省(VA)のヘルスケア制度にも,同様の地理的ばらつきがあるかどうかについては不明である.この VA のヘルスケア制度は,主に年収が $ 20,000 未満の男性に提供されていること,中央管理制度があるということ,および勤務医を雇用しているということから,民間セクターとは異なっている.したがって,VA のヘルスケア制度には地理的ばらつきは少ないのかもしれない.

方 法

8 種類の疾患(慢性閉塞性肺疾患,肺炎,うっ血性心不全,狭心症,糖尿病,慢性腎不全,双極性障害,および重症うつ病)の治療を受けた患者の情報は,VA データベースを利用して入手した.病院と外来患者サービスの利用についての分析は,VA のすべての医療制度と 22 の地域に基づいたヘルスケアネットワークについて,1991~95 年の,リスクを補正した入院日数(入院回数にかかわらず,12 ヵ月の追跡調査期間ごとの患者が病院に滞在した平均日数),退院率,および診療所への来院率を評価することによって行った.

結 果

今回検討した 8 種類の患者コホートと調査期間において,病院の利用に実質的な地理的ばらつきを認めた.このネットワークの人-年(患者 1 人の 1 年間)当りの入院日数に認められたばらつきは,どの調査年においても,慢性閉塞性肺疾患の患者でもっとも大きく(2.7~3.1 倍),狭心症の患者でもっとも小さかった(1.5~2.1 倍).病院の利用率は,北東部でもっとも高く,西部でもっとも低かった.ネットワーク間での目的に応じた医療ケアを受けるために診療所へ来院した来院率のばらつきは,約 1.6~4.0 倍の範囲であった;この来院率のばらつきは,慢性腎不全の患者でもっとも大きく,うっ血性心不全の患者でもっとも小さかった.外来患者の診療所の利用率には,明らかな地理的パターンは認められなかった.

結 論

VA ヘルスケア制度における病院と外来患者サービスの利用には,有意な地理的ばらつきが認められる.VA の医師はその診療形態をかえても増収は望めないので,今回の調査結果は,VA の医師の診療様式がその地域の他の医師らのものと同様のものであることを示唆している.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1999; 340 : 32 - 9. )