February 4, 1999 Vol. 340 No. 5
コカインの使用および喫煙と自然流産のリスク
COCAINE AND TOBACCO USE AND THE RISK OF SPONTANEOUS ABORTION
R.B. NESS AND OTHERS
喫煙とコカインの使用はおそらく自然流産のリスク因子であろうと考えられるが,このような関連を示したデータは限られている.
われわれは,都心地区の救急部門で治療を求めていた妊娠中の少女と女性(年齢範囲,14~40 歳)において,コカインの使用および喫煙と自然流産との関連性を検討した.全体では,400 例の少女と女性が,試験への組み入れ時または追跡調査(追跡調査は妊娠 22 週目まで続けた)期間中に自然流産し,570 例の少女と女性が妊娠 22 週目以降も妊娠を継続していた.コカインの使用は,試験開始時に,自己申告と尿および毛髪の分析によって評価した.喫煙は自己申告と尿検査によって評価した.
流産群と非流産群の両群の少女と女性は,主に黒人で社会経済的な地位が低かった.自然流産した少女と女性では,毛髪検査に基づいたコカインの使用が 28.9%,尿のコチニン検査に基づいた喫煙が 34.6%であったのに対して,自然流産しなかった少女と女性ではそれぞれ 20.5%および 21.8%であった.毛髪検体からのコカインの検出は,人口統計学的および薬物使用の変数で補正すると,自然流産の発生の増加と独立的な関連性が認められた(オッズ比,1.4;95%信頼区間,1.0~2.1).しかしながら,自己申告および尿検査による評価では,コカインの使用は関連性がなかった.尿中からのコチニンの検出も,自然流産のリスクの増加と独立に関連していた(オッズ比,1.8;95%信頼区間,1.3~2.6).自然流産のリスクの 24%は,コカインの使用または喫煙に関連づけることができた.
コカインの使用と喫煙は,今回の試験母集団においては一般的なことであり,自然流産の有意なリスクと関係があった.