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February 4, 1999 Vol. 340 No. 5

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乳癌の治療後にリンパ浮腫が発現した女性におけるクマリンの効果の欠如
LACK OF EFFECT OF COUMARIN IN WOMEN WITH LYMPHEDEMA AFTER TREATMENT FOR BREAST CANCER

C.L. LOPRINZI AND OTHERS

背景

腕のリンパ浮腫は,乳癌の女性の局所および限局療法の重篤な結果の一つになり得る.クマリンは,リンパ浮腫の女性の治療において有効であることが報告されている;そこで,われわれは,それらの結果の再現を目的とした試験を実施した.

方 法

乳癌の治療後に同側腕に慢性リンパ浮腫が発現している 140 例の女性を対象として試験を行った.これらの女性は,クマリンの 200 mg またはプラセボを 1 日 2 回,6 ヵ月間連日服薬し,その後の 6 ヵ月間はそれぞれ逆の治療を受けた.本試験のエンドポイントは,腕の容積(手および腕の周囲の測定値から算出した)と,リンパ浮腫に関連していると考えられる症状について,患者が記入し終えた質問票の回答であった.

結 果

6 ヵ月目および 12 ヵ月目の腕の容積は,クマリンあるいはプラセボのどちらが先に投与されたかにはかかわらず,実質的には同じであった.6 ヵ月後の患部側の腕の平均容積は,プラセボ投与中に 21 mL,クマリン投与中に 58 mL 増加した(p=0.80).さらに,患者の質問票に記入された回答は,二つの治療群で類似した結果であった.6 ヵ月後には,クマリン群の女性の 15%とプラセボ群の女性の 10%が,試験薬物療法によって中等度または高度に改善したことを報告したにすぎなかった(p=0.19).クマリンは,これらの女性の 6%で肝毒性の血清学的な証拠が得られたことを除いて,十分に忍容できるものであった.

結 論

クマリンは,乳癌の治療後に腕のリンパ浮腫が発現している女性に対して有効な治療ではない.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1999; 340 : 346 - 50. )