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February 4, 1999 Vol. 340 No. 5

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卵巣癌のプラチナ製剤を中心とした化学療法後の白血病のリスク
RISK OF LEUKEMIA AFTER PLATINUM-BASED CHEMOTHERAPY FOR OVARIAN CANCER

L.B. TRAVIS AND OTHERS

背景

プラチナ製剤を中心とした化学療法は,卵巣,睾丸,およびその他の癌の現代治療の礎石であるが,ほとんどの研究者がこのような治療の後,遅れて発現する後遺症の定量化は行っていない.

方 法

1980~93 年に浸潤性の卵巣癌と診断された北米および欧州に暮らす 28,971 例の女性の母集団に基づいたコホートにおいて,二次性白血病のケースコントロール試験を実施した.これらの女性の 96 例において,プラチナ製剤を中心とした化学療法の施行後に白血病が発現していた.これらの女性には 272 例の対照患者がマッチングしていた.この 2 群において,化学療法の種類,総投与量,および投与期間と,造血骨髄に対して照射された放射線量を比較した.

結 果

卵巣癌に対してプラチナ製剤を中心とした併用化学療法を受けた女性の白血病の相対リスクは 4.0(95%信頼区間,1.4~11.4)であった.カルボプラチン治療とシスプラチン治療の相対リスクは,それぞれ 6.5(95%信頼区間,1.2~36.6)および 3.3(95%信頼区間,1.1~9.4)であった.この相対リスクには用量依存的な関係が認められ,プラチナ製剤が 1,000 mg 以上になると 7.6 に達した(傾向について p<0.001).化学療法を伴わない放射線療法(照射量の中央値,18.4 Gy)では,白血病のリスクは上昇しなかった.

結 論

卵巣癌のプラチナ製剤を中心とした治療は,二次性白血病のリスクを上昇させる.それでも,進行癌の患者がプラチナ製剤を中心とした治療から受ける大きな有益性は,これによってわずかに上昇する白血病のリスクにまさるものである.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1999; 340 : 351 - 7. )