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February 18, 1999 Vol. 340 No. 7

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オレゴン州で法制化された医師による幇助自殺 ― 1 年目の経験
LEGALIZED PHYSICIAN-ASSISTED SUICIDE IN OREGON ― THE FIRST YEAR'S EXPERIENCE

A.E. CHIN, K. HEDBERG, G.K. HIGGINSON, AND D.W. FLEMING

背景

【背景および方法】1997 年 10 月 27 日に,オレゴン州は医師による幇助自殺を法制化した.われわれは,末期病態のオレゴン州の住民で,オレゴン州尊厳死法(the Oregon Death with Dignity Act)の下で致死薬の処方を受けたすべての住民と,1998 年に死亡したすべての住民のデータを収集した.データは,医師からの報告書,死亡証明書,および医師との面接によって入手した.本法に基づいて処方された致死薬を服用した人々と,同様の疾患で死亡したが致死薬の処方を受けなかった人々との比較を行った.

結 果

致死薬の処方を受けた 23 例についての情報は,オレゴン州の保健局(the Oregon Health Division)に報告されていた; 15 例は致死薬を服用後に死亡し,6 例は基礎疾患で死亡し,残りの 2 例は 1999 年 1 月 1 日現在において生存していた.致死薬を服用後に死亡した 15 例の年齢の中央値は 69 歳で あった; 8 例が男性で,15 例はすべて白人であった.15 例のうち 13 例が癌であった.幇助自殺患者と対照患者は,性別,人種,都市または田舎の居住別,教育水準,保険の適用範囲,およびホスピスへの入所に関して患者特性がよく似ていた.疾患による経済的な影響を懸念していた患者は,幇助自殺患者にも対照患者にもいなかった.幇助自殺患者 1 例と対照患者 15 例が,疼痛管理が不十分であることへの懸念を訴えていた(p = 0.10).対照患者と比べて幇助自殺患者では,結婚歴がない患者が多く(p = 0.04),疾患による自律性の喪失を懸念する患者が多く(p = 0.01),身体機能の制御消失を懸念する患者が多かった(p = 0.02).死亡時に機能が完全に障害されていた割合は,幇助自殺患者では 21%,対照患者では 84%であった(p < 0.001).

結 論

オレゴン州で医師による幇助自殺が法制化された初年度において,致死薬の処方の希望とその使用の決定は,自律性の喪失,または身体機能の制御喪失に対する懸念と関連し,難治性疼痛に対する恐怖や経済的損失に対する懸念とは関連しなかった.さらに,医師による幇助自殺の選択に,教育水準や保険の適用範囲との関連は認められなかった.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1999; 340 : 577 - 83. )