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January 14, 1999 Vol. 340 No. 2

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乳癌の家族歴を有する女性における予防的両側乳房切除術の有効性
EFFICACY OF BILATERAL PROPHYLACTIC MASTECTOMY IN WOMEN WITH A FAMILY HISTORY OF BREAST CANCER

L.C. HARTMANN AND OTHERS

背景

乳癌のリスクが高い女性の選択肢には,健診,化学予防法,および予防的乳房切除術などがある.健診と予防的乳房切除術の成績については,まだデータが不十分である.

方 法

乳癌の家族歴を有し,1960~93 年に Mayo クリニックで予防的両側乳房切除術を受けたすべての女性を対象として,後ろ向き研究を行った.これらの女性を家族歴に基づいて二つの群 ― 高リスク群と中リスク群 ― に層別した.高リスク発端者の姉妹の対照試験と Gail モデルを使用して,予防的乳房切除術を受けなかった場合におけるこれら 2 群の乳癌の期待発生数を予測した.

結 果

乳癌の家族歴を有し,予防的両側乳房切除術を受けた 639 例の女性を同定した:214 例が高リスク,425 例が中リスクであった.追跡調査期間の中央値は 14 年であった.予防的乳房切除術を受けた年齢は,中央値で 42 歳であった.Gail モデルから,中リスク群の乳癌の発生数は 37.4 件と期待された;実際には 4 件の乳癌が発生した(リスクの低下,89.5%;p<0.001).214 例の高リスク発端者における乳癌の発生数を,予防的乳房切除術を受けなかった 403 例の姉妹の乳癌の発生数と比較した.これらの姉妹の 38.7%(156 例)が乳癌の診断を受けていた(115 例はその発端者の予防的乳房切除術の前に,38 例はその手術の後に乳癌と診断され,3 例の診断の時期は不明であった).対照的に,発端者で乳癌の診断を受けたのは,1.4%(214 例中 3 例)のみであった.したがって,予防的乳房切除術は,乳癌の発生が少なくとも 90%低下したことと関連があった.

結 論

予防的乳房切除術は,家族歴に基づいた乳癌の高リスク女性において,乳癌の発生を有意に低下させることができる.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1999; 340 : 77 - 84. )