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March 11, 1999 Vol. 340 No. 10

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移民の腸内寄生虫治療戦略の費用対効果
The Cost Effectiveness of Strategies for the Treatment of Intestinal Parasites in Immigrants

P. MUENNIG, D. PALLIN, R.L. SELL, AND M.-S. CHAN

背景

現在,米国には,腸内寄生虫が地方病となっている国々から毎年 600,000 人を超える移民が入国している.寄生虫感染者が入国時に無症状である可能性があり,便検査は感度が寄生虫のスクリーニングに適していない.アルベンダゾールは,最近,米国食品医薬品局(FDA)によって承認された新規の広域抗寄生虫薬である.国際試験では,アルベンダゾールは安全で,複数の寄生虫の駆除に有効であることが示されている.今日の米国では,すべての移民に寄生虫のスクリーニング検査を実施すべきかどうか,すべての移民に「感染している」という推定のもとで治療を行うべきかどうか,あるいは症状が現れるまでは何も行わないべきかどうかという点について,意見の一致をみていない.

方 法

予防的介入を行わない場合(経過観察)の費用および有益性を,全員にスクリーニングを行った場合,またはアルベンダゾール 1 日 400 mg 5 日間による推定に基づく治療を行った場合の費用および有益性と比較した.腸内寄生虫のリスクを有する移民は,アジア,中東,サハラ以南のアフリカ,東ヨーロッパ,およびラテンアメリカとカリブ海からの米国への移住者と定義した.費用対効果は,DALY(disability-adjusted life-year)当りの治療の費用(1 DALY は,病気によって失われる 1 年間の健康な人生と定義されている)という観点と,回避された入院当りの費用という観点の両方から表した.

結 果

寄生虫のリスクを有するすべての移民に対する推定に基づく治療は,経過観察と比較して,少なくとも 870 DALYs の損失を回避し,最低でも 33 例の死亡と 374 件の入院を防ぎ,1 年当り少なくとも 420 万ドルの費用を節約すると考えられる.スクリーニングは,経過観察と比較して,損失が回避された DALY 当り 159,236 ドルの費用がかかると考えられる.

結 論

寄生虫のリスクを有するすべての移民に対する推定に基づくアルベンダゾールの投与は,人命を救うとともに費用を節約すると考えられる.全員にスクリーニングを行い,便検査で陽性であった人に治療を行う場合は,人命は救うが,推定治療に比べて費用対効果が低い.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1999; 340 : 773 - 9. )