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January 7, 1999 Vol. 340 No. 1

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妊娠合併症を併発した女性における遺伝性血栓性素因の発現率の増加
INCREASED FREQUENCY OF GENETIC THROMBOPHILIA IN WOMEN WITH COMPLICATIONS OF PREGNANCY

M.J. KUPFERMINC AND OTHERS

背景

重症の子癇前症,胎盤早期剥離,胎児発育遅延,および死産のような産科領域の合併症は,絨毛間あるいはらせん動脈の血栓症および不充分な胎盤循環と関連がある.これらの合併症が血栓性素因の突然変異の発現頻度の増加と関連があるかどうかについてはわかっていない.

方 法

上記の産科領域の合併症の一つを有する 110 例の女性と,1 回以上の正常妊娠の経験がある 110 例の女性を対象として試験を行った.分娩後数日目に,第 V 因子遺伝子のヌクレオチド 506 のアデニンからグアニンへの突然変異(第 V 因子の Leiden 突然変異),メチレンテトラヒドロ葉酸還元酵素をコードしている遺伝子のヌクレオチド 677 のシトシンからチミジンへの突然変異,およびプロトロンビン遺伝子のヌクレオチド 20210 のグアニンからアデニンへの突然変異について,DNA 検査を 行った.分娩後 2~3 ヵ月目に,プロテイン C,プロテイン S,またはアンチトロンビン III の欠損と,抗カルジオリピン抗体の有無を調べる検査を実施した.

結 果

第 V 因子遺伝子のヌクレオチド 506 の突然変異は,産科領域の合併症を有する女性の 22 例と正常妊娠の女性の 7 例に検出された(それぞれ 20%および 6%;p = 0.003).メチレンテトラヒドロ葉酸還元酵素をコードしている遺伝子の C677T 突然変異については,合併症ありの女性の 24 例がホモ接合であったのに対して,合併症なしの女性のホモ接合は 9 例であった(それぞれ 22%および 8%;p = 0.005).プロトロンビン遺伝子の G20210A 突然変異は,合併症ありの女性では 11 例に検出されたのに対して,合併症なしの女性では 3 例にしか検出されなかった(それぞれ 10%および 3%;p = 0.03).これらを合計した血栓性素因の突然変異は,産科領域の合併症を有する女性の 57 例が保有していたのに対して,正常妊娠の女性では 19 例にしか保有されていな かった(それぞれ 52%および 17%;p<0.001).プロテイン S,プロテイン C,またはアンチトロンビン III の欠損,あるいは抗カルジオリピン抗体は,合併症ありの女性では上記以外の 14 例に検出されたのに対して,正常妊娠の女性では 1 例にしか検出されなかった(それぞれ 13%および 1%;p<0.001).

結 論

重症の産科領域の合併症を有する女性では,血栓症と遺伝性および後天的な血栓性素因を与える突然変異の発現頻度が増加している.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1999; 340 : 9 - 13. )