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March 25, 1999 Vol. 340 No. 12

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特発性静脈血栓性塞栓症の初回エピソードに対する 3 ヵ月間の抗凝固療法と延長抗凝固療法の比較
A Comparison of Three Months of Anticoagulation with Extended Anticoagulation for a First Episode of Idiopathic Venous Thromboembolism

C. KEARON AND OTHERS

背景

既知の血栓症のリスク因子がまったく認められない静脈血栓性塞栓症(特発性血栓症)の初回エピソードを発現した患者は,しばしば 3 ヵ月間の抗凝固薬療法で治療される.しかし,このような患者では,抗凝固薬療法中止後の再発のリスクが上昇していると考えられるので,より長期の治療が有益である可能性がある.

方 法

今回の二重盲検試験において,われわれは,特発性静脈血栓性塞栓症の初回エピ ソードに対する 3 ヵ月間の抗凝固薬療法を終えた患者を,その後 24 ヵ月間にわたるワルファリンの継続投与またはプラセボ投与のいずれかに無作為に割り付けた.なおワルファリンは,国際標準化率(International Normalized Ratio:INR)が 2.0~3.0 になるように用量を調節して投与した.本試験の最終目的は,再発性の症状性静脈血栓性塞栓症および出血の発現率に対する延長抗凝固薬療法の効果を調べることであった.

結 果

まえもって計画されていた有効性の中間解析の結果から,162 例の患者が試験に組み入れられ追跡調査期間の平均が 10 ヵ月を過ぎた時点で,本試験は早期に中止された.静脈血栓性塞栓症の再発エピソードは,プラセボ投与に割り付けられた患者では 83 例中の 17 例に発現したのに対して(患者-年当り 27.4%),ワルファリン投与に割り付けられた患者では 79 例中の 1 例に発現しただけであった(患者-年当り1.3%,p<0.001).ワルファリンは,最終的に,再発性静脈血栓性塞栓症のリスクを 95%低下させた(95%信頼区間,63~99%).非致死的な大出血は,ワルファリン群に割り付けられた患者の 3 例に発現したのに対して(2 例は胃腸管出血,1 例は泌尿生殖器出血),プラセボ群に割り付けられた患者には発現した患者は 1 例もいなかった(患者-年当り 3.8% 対 0%,p=0.09).

結 論

特発性静脈血栓性塞栓症の初回エピソードの患者には,3 ヵ月よりも長期間の抗凝固薬治療を行うべきである.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1999; 340 : 901 - 7. )