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March 25, 1999 Vol. 340 No. 12

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受動喫煙と冠動脈心疾患のリスク ― 疫学調査のメタアナリシス
Passive Smoking and the Risk of Coronary Heart Disease — A Meta-Analysis of Epidemiologic Studies

J. HE AND OTHERS

背景

受動喫煙の冠動脈心疾患のリスクに対する影響は議論の的になっている.そこで,われわれは,非喫煙者における受動喫煙に関連した冠動脈心疾患のリスクについてのメタアナリシスを実施した.

方 法

MEDLINE と Dissertation Abstracts Online のデータベースの検索と,関連文献の引用の詳しい調査を行い,あらかじめ設定しておいた組み入れ基準に合致した 18 件(10 件がコホート調査,8 件がケースコントロール調査)の疫学調査を識別した.それらの調査の研究デザイン,対象被験者の特性,受動喫煙の曝露と転帰の評価方法,考えられる交絡因子の調整,およびリスクの推定値に関する情報は,3 名の研究者がそれぞれ別々に標準化プロトコールに従って要約した.

結 果

全体では,環境中のたばこの煙の曝露を受けなかった非喫煙者と比較したときの曝露を受けた非喫煙者の冠動脈心疾患の相対リスクは 1.25 であった(95%信頼区間,1.17~1.32).コホート調査(相対リスク,1.21;95%信頼区間,1.14~1.30),ケースコントロール調査(相対リスク,1.51;95%信頼区間,1.26~1.81),男性(相対リスク,1.22;95%信頼区間,1.10~1.35),女性(相対リスク,1.25;95%信頼区間,1.15~1.34),および自宅(相対リスク,1.17;95%信頼区間,1.11~1.24)や職場(相対リスク,1.11;95%信頼区間,1.00~1.23)でたばこの煙の曝露を受けた人々において,受動喫煙は,冠動脈心疾患の相対リスクの上昇に一様に関連していた.曝露量との有意な用量依存性が認められ,たばこの煙の曝露を受けなかった非喫煙者と比較したときの 1 日当り 1~19 本のたばこの煙の曝露を受けた非喫煙者の相対リスクと,1 日当り 20 本以上のたばこの煙の曝露を受けた非喫煙者の相対リスクは,それぞれ 1.23,1.31 であった(直線的傾向性について p=0.006).

結 論

受動喫煙は,冠動脈心疾患のリスクのわずかな上昇に関連している.喫煙率の高さを考えると,冠動脈心疾患に関しては,公衆衛生における受動喫煙の結果は重要かもしれない.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1999; 340 : 920 - 6. )