March 25, 1999 Vol. 340 No. 12
マネージドケアに対する見解 ― 米国の医学校における医学生,レジデント,教授団,および学部長の調査
Views of Managed Care — A Survey of Students, Residents, Faculty, and Deans at Medical Schools in the United States
S.R. SIMON AND OTHERS
米国の教育機関の医師と医学生のマネージドケアに対する見解はあまりよく解っていない.
そこで,われわれは,マネージドケアについての教育機関の人々の経験および考え方を調査する目的で,1997 年に,米国の医学校の医学生(回答者数 506 名),レジデント(494 名),教授団(728 名),診療科部長(186 名),内科および小児科の専門医学実習の指導教官(143 名),および学部長(105 名)を対象とした全国標本の電話調査を実施した.全体の回答率は 80.1%であった.
回答者には,0 を「可能な限り否定的」,10 を「可能な限り肯定的」と定義した 0~10 段階の評価で,マネージドケアに対する各自の態度を評価してもらった.マネージドケアに対する態度の評価は否定的で,それぞれの平均(±SD)スコアは,レジデントが 3.9±1.7 ともっとも低く,学部長が 5.0±1.3 ともっとも高かった.医療のいくつかの特定の観点からの評価では,アクセス(回答者の 80.2%による評価),倫理的対立の最小化(74.8%),および医師と患者の関係の質(70.6%)の観点に関しては,個別支払い医療がマネージドケアよりも高く評価されていた.医療の継続性に関しては,回答者の 52.0%が個別支払い医療を好ましいと評価し,29.3%がマネージドケアを好ましいと評価していた.終末期医療に関しては,49.1%が個別支払い医療を,20.5%がマネージドケアを好ましいと評価していた.また慢性疾患患者の医療に関しては,41.8%が個別支払い医療を,30.8%がマネージドケアを好ましいと評価していた.教授団,専門医学実習の指導教官,および診療科部長は,マネージドケアによって,研究(63.1%が同意)および教育(58.9%)に費やせる時間と,収入(55.8%)が減少していると述べていた.教授団の 46.6%,専門医学実習の指導教官の 26.7%,および診療科部料の 42.7%が,マネージドケアについての否定的なメッセージを学生に伝えたと報告していた.
医学生,レジデント,教授団,および医学校の学部長のあいだでは,マネージドケアに対する否定的な見解が広がっている.