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July 1, 1999 Vol. 341 No. 1

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僧帽弁逸脱の有病率と臨床転帰
Prevalence and Clinical Outcome of Mitral-Valve Prolapse

L.A. FREED AND OTHERS

背景

僧帽弁逸脱は,しばしば合併症を伴う一般的な疾患であるといわれている.一般集団における僧帽弁逸脱の有病率を調べるために,診断には現行の断層心エコー図診断基準を用いて,フラミンガム心臓研究(the Framingham Heart Study)の次世代コホートにおける第 5 回調査に参加した女性 1,845 例と男性 1,646 例(平均 [±SD] 年齢,54.7±10.0 歳)の心エコー図の検討を行った.

方 法

典型的な僧帽弁逸脱は,収縮期の僧帽弁弁尖の上方への逸脱が 2 mm を超え,拡張期の弁尖の最大厚が 5 mm 以上と定義し,非典型的な僧帽弁逸脱は,収縮期の弁尖の逸脱が 2 mm を超え,拡張期の最大厚が 5mm 未満と定義した.

結 果

僧帽弁逸脱は,合計で 84 例の被験者(2.4%)に認められた:このうちの 47 例(1.3%)が典型的な逸脱で,37 例(1.1%)が非典型的な逸脱であった.これら被験者の年齢と性別の分布は,僧帽弁逸脱が認められなかった被験者の分布とよく似ていた.逸脱が認められた被験者では,心不全の病歴をもっていた者は 1 例もいなかったが,心房細動の病歴は 1 例(1.2%),脳血管障害は 1 例(1.2%),失神は 3 例(3.6%)に認められた.これに対して,僧帽弁逸脱が認められなかった被験者では,これらの疾患の補正なしの有病率はそれぞれ 0.7%,1.7%,1.5%,および 3.0%であった.胸痛,呼吸困難,および心電図異常の頻度は,逸脱が認められた被験者と逸脱が認められなかった被験者で同程度であった.逸脱が認められた被験者は,逸脱が認められなかった被験者と比較して,痩せ型で(p<0.001),僧帽弁逆流が強かったが,その逆流の程度は平均でごく軽度または軽度に分類されるものであった.

結 論

一般集団の地域社会ベースの標本における僧帽弁逸脱の有病率は,これまでに報告されている有病率よりも低かった.紹介患者を対象とする研究で,僧帽弁逸脱との関連が一般的に指摘されている合併症発症の有病率もまた,本研究では低かった.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1999; 341 : 1 - 7. )