The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

November 11, 1999 Vol. 341 No. 20

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

中国における葉酸を用いた神経管欠損症の予防
Prevention of Neural-Tube Defects with Folic Acid in China

R.J. BERRY AND OTHERS

背景

葉酸を含む総合ビタミン剤を妊娠前後に服薬することによって,女性が神経管欠損症の乳児を出産するリスクを低下させることができる.

方 法

中国の神経管欠損症の発症率が高い地域(北部地方)と低発症率の地域(南部地方)において,1993~95 年に実施された公衆衛生キャンペーンの一環として,葉酸の 400 μg のみを含有した錠剤を婚姻前検査時から妊娠の第一トリメスター終了時まで連日服薬することを依頼した女性を対象に,その妊娠の転帰についての評価を行った.

結 果

妊娠前あるいは妊娠中のいずれかの時期に葉酸を服薬した女性 130,142例,および葉酸をまったく服薬しなかった女性 117,689 例の胎児または新生児において,それぞれ 102 例および 173 例の神経管欠損症の胎児または新生児が確認された.最終月経期間前に登録されて葉酸をまったく服薬しなかった女性の胎児または新生児では,神経管欠損症の発症率は,北部地方が妊娠期間 20 週以上の妊娠 1,000 件当り 4.8 件,南部地方が 1,000 件当り 1.0 件であった.妊娠前後に葉酸を服薬した女性の胎児または新生児では,この発症率は,北部地方が 1,000 件当り 1.0 件,南部地方が 1,000 件当り 0.6 件であった.北部地方の女性で,葉酸の錠剤を妊娠前後の 80%を超える期間にわたって服薬していた部分集団の胎児または新生児で,リスクはもっとも減少した.南部地方でも,妊娠前後に葉酸を服薬していた女性の胎児または新生児におけるリスクの低下は有意なものであった(リスクの低下,41%;95%信頼区間,3~64%).

結 論

神経管欠損症のリスクは,これらの欠損症の発症率が高率な地域でも低率な地域でも,妊娠前後に葉酸 400 μg を連日服薬することによって低下させることができる.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1999; 341 : 1485 - 90. )