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November 18, 1999 Vol. 341 No. 21

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難治性の多発性骨髄腫におけるサリドマイドの抗腫瘍活性
Antitumor Activity of Thalidomide in Refractory Multiple Myeloma

S. SINGHAL AND OTHERS

背景

高用量化学療法後に再発した骨髄腫の患者には,その後の治療の選択肢はほとんど残されていない.骨髄腫は,骨髄の血管が増加すると,その予後が不良になるため,今回,われわれは,難治性の本疾患の患者を対象として,血管新生を阻害する特徴を有するサリドマイドの有効性についての評価を行った.

方 法

前治療を受けていた難治性骨髄腫の患者 84 例(76 例は高用量化学療法後の再発例)に,経口サリドマイドを単剤にて中央値で 80 日間(範囲,2~465 日間)投与した.投与量は,初回用量を 200 mg/日とし,800 mg/日に達するまで 2 週間ごとに 200 mg ずつ増量していった.治療に対する反応は,血清中の骨髄腫タンパク質(M 蛋白)または尿中ベンス・ジョーンズ蛋白の減少が 6 週間以上持続したかどうかで評価した.

結 果

血清中または尿中の異常蛋白の濃度は,8 例で 90%以上低下(うち 2 例は完全寛解),6 例で 75%以上低下,7 例で 50%以上低下,6 例で 25%以上低下し,全体の奏効率は 32%であった.この異常蛋白の濃度の低下は,奏効が認められた患者の 78%では治療開始後 2 ヵ月目までに明らかとなり,骨髄中の形質細胞数の減少およびヘモグロビン濃度の上昇を伴っていた.骨髄の微小血管密度は,反応が認められた患者でも有意な変化は認められなかった.患者の少なくとも 1/3 に,軽度または中等度の便秘,脱力・倦怠感,傾眠のいずれかが発現した.これよりも重度の副作用の頻度は低く(発現率はわずか 10%未満),血液学的副作用はまれであった.最新の追跡調査では,36 例が死亡していた(30 例は非奏効例,6 例は奏効例).12 ヵ月間の追跡調査後の Kaplan–Meier 法で推計した全患者の無イベント生存および全生存の平均生存率(±SE)は,それぞれ 22±5%および 58±5%であった.

結 論

サリドマイドは進行骨髄腫に対して活性を有している.高用量化学療法施行後に再発した患者をも含む多発性骨髄腫の患者には,サリドマイドによって,顕著で,しかも持続的な反応が認められる患者がいる.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1999; 341 : 1565 - 71. )