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December 2, 1999 Vol. 341 No. 23

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透析患者,移植待機中の透析患者,および初回死体腎移植レシピエントのすべての患者における死亡率の比較
Mortality in All Patients on Dialysis, Patients on Dialysis Awaiting Transplantation, and Recipients of a First Cadaveric Transplant

R.A. WOLFE AND OTHERS

背景

腎臓の同種移植が,長期透析と比較して,末期腎不全(ESRD)患者の生存をどの程度改善させるのかということは,移植に選ばれた患者はベースラインの死亡リスクが低いという可能性があるために,論争の的になっている.

方 法

患者選択と移植そのものの影響を区別することを計画して,ESRD のために長期にわたって透析を受けていた患者 228,552 例を対象に,その死亡率を経時的に観察する研究を実施した.これらの患者の 46,164 例は移植の待機リストに登録されており,23,275 例は 1991~97 年の期間に死体腎の初回移植を受けていた.死亡および生存の相対リスクは,年齢,人種,性別,ESRD の原因,地理的地域,ESRD の初回治療から移植待機リストに登録されるまでの時間,および待機リストにはじめて登録された年で補正した時間依存性非比例ハザード解析で評価した.

結 果

患者のさまざまな部分集団において,移植待機中の透析患者の標準化死亡率比(年間死亡率,6.3/100 患者年)は,すべての透析患者の標準化死亡率比(年間死亡率,16.1/100 患者年)よりも 38~58%低かった.移植後 2 週間までの死亡の相対リスクは,移植待機リストに登録されてからの追跡調査期間が等しかった透析患者よりも 2.8 倍高かったが,この相対リスクは 18 ヵ月の時点ではかなり低くなっていた(相対リスク,0.32;95%信頼区間,0.30~0.35;p < 0.001).透析群と移植群の二つの患者群の生存の可能性は,今回検討したすべての患者の部分集団において,移植後 5~673 日目までに等しくなった.長期死亡率は,移植待機リストに登録されている患者よりも,移植レシピエント(年間死亡率,3.8/100 患者年)で48~82%低く,この有益性は,20~39 歳の患者,白人患者,および糖尿病による若年層の患者において比較的大きかった.

結 論

ESRD 患者では,身体状態が良好な患者が移植待機リストに登録されているが,登録患者における長期生存率は,最終的に移植を受けた患者でより高い.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1999; 341 : 1725 - 30. )