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December 9, 1999 Vol. 341 No. 24

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リンパ節転移陽性前立腺癌の男性における根治的前立腺摘出術および骨盤内リンパ節郭清後の早期ホルモン療法と経過観察の比較
Immediate Hormonal Therapy vs. Observation after Radical Prostatectomy and Pelvic Lymphadenectomy for Node-Positive Prostate Cancer

E.M. MESSING AND OTHERS

背景

前立腺癌に対する抗アンドロゲン療法を開始する最適な時期については意見が分かれているので,根治的前立腺摘出術施行後に微小残存病変が確認された患者を対象として,術後早期に開始する治療と経過観察後に行う治療の比較を行った.

方 法

根治的前立腺摘出術と骨盤内リンパ節郭清を受け,リンパ節転移が確認された 98 例の男性を無作為に割り付け,性腺刺激ホルモン放出ホルモンの合成アゴニストであるゴセレリン,または両側の睾丸摘出術のいずれかによる術後早期の抗アンドロゲン療法,あるいは癌の進行が認められるまで追跡する経過観察を行った.患者の評価は,試験 1 年目までは四半期ごとに,それ以降は半年ごとに行った.

結 果

追跡調査期間の中央値が 7.1 年までの段階において,死亡した男性は,術後早期の抗アンドロゲン療法を受けた 47 例の男性では 7 例であったのに対して,観察群では 51 例のうちの 18 例であった(p=0.02).このうち前立腺癌による死亡は,術後早期治療群では 3 例,観察群では 16 例であった(p<0.01).最後の追跡調査の時点では,術後早期治療群では 36 例(77%),観察群では 9 例(18%)が,血清中の前立腺特異抗原の値が検出限界以下であることも含めて,再発を示すような所見がまったくみられずに生存していた(p<0.001).観察群では 42 例に再発が認められた; このうちの 36 例が再発後に治療を受け,13 例は局所治療またはホルモン療法(あるいはその両方)によって完全寛解に達したが,16 例は前立腺癌によって死亡,1 例は他の疾患によって死亡した.観察群の残りの男性は,最後の追跡調査の時点において,疾病が進行した状態で生存しているか,あるいは,その直前に再発していた.治療群(術後早期治療群または観察群)ということを除いて,他のどのような臨床特性や組織学的特性にも,転帰に対する有意な影響は認められなかった.

結 論

根治的前立腺摘出および骨盤内リンパ節郭清後の早期抗アンドロゲン療法は,リンパ節転移陽性前立腺癌患者の生存を改善させるとともに,再発のリスクを低下させる.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1999; 341 : 1781 - 8. )