December 23, 1999 Vol. 341 No. 26
急性心筋梗塞に対するステント植込みを併用または併用しない冠動脈血管形成術
Coronary Angioplasty with or without Stent Implantation for Acute Myocardial Infarction
C.L. GRINES AND OTHERS
冠動脈へのステント植込みは,急性心筋梗塞の治療においてしばしば実施されている.しかしながら,このステント植込みと,初回血管形成術の単独治療と比較する試験はほとんど実施されていない.
今回,われわれは,初回血管形成術を,ヘパリンでコーティングした Palmaz–Schatz ステントの植込みを伴った血管形成術と比較する多施設試験を計画した.急性心筋梗塞の患者には,緊急のカテーテル法および血管形成術が実施された.血管がステント留置に適していた患者を,ステント留置を伴った血管形成術(452 例)または血管形成術単独(448 例)に無作為に割り付けた.
平均(± SD)の最小内腔径は,ステントを留置したほうが単独の血管形成術よりも大きかったものの(2.56 ± 0.44 mm 対 2.12 ± 0.45 mm,p < 0.001),ステント留置に割り付けられた患者には,血流量がグレード 3(the Thrombolysis in Myocardial Infarction trial の分類による)になった患者は少なかった(89.4%,これに対して血管形成術群では 92.7%; p = 0.10).6 ヵ月後には,狭心症が発症した患者はステント群が血管形成術群よりも少なく(11.3% 対 16.9%,p = 0.02),虚血のために標的血管の血行再建が必要となった患者も少なかった(7.7% 対 17.0%,p < 0.001).さらに,死亡,再梗塞,機能障害性の脳卒中,または虚血のための標的血管の血行再建を統合した主要エンドポイントの発現も,ステント群の患者が血管形成術群の患者よりも少なかった(12.6% 対 20.1%,p < 0.01).この統合エンドポイントの減少は,すべてが,標的血管の血行再建が必要となった患者が減少したことによるものであった.6 ヵ月死亡率は,ステント群では 4.2%,血管形成術群では 2.7%であった(p = 0.27).6.5 ヵ月の時点で行った血管造影法による追跡調査では,ステント群の再狭窄の発生率が,血管形成術群よりも少ないことが確認された(20.3% 対 33.5%,p < 0.001).
日常診療で行われている日常的なステント植込みには,急性心筋梗塞の患者において,初回の冠動脈形成術単独に優る臨床上の有益性がある.