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August 12, 1999 Vol. 341 No. 7

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第一および第二トリメスターに実施された検査をもとにしたダウン症候群の統合スクリーニング
Integrated Screening for Down's Syndrome Based on Tests Performed during the First and Second Trimesters

N.J. WALD, H.C. WATT, AND A.K. HACKSHAW

背景

ダウン症候群に対する第一トリメスターのスクリーニングと第二トリメスターのスクリーニングは,どちらも絨毛膜絨毛の検体採取や羊水穿刺が必要な女性の選別に有効な方法ではあるが,日常診療において,どのスクリーニング法を使用すべきかということについては明らかではない.今回,われわれは,女性がダウン症候群の胎児を妊娠している単一のリスクの推定値を算出できるような,二つのトリメスターの期間に得られた測定値を統合した新しいスクリーニング法を提案する.

方 法

今回の検討では,第一トリメスターおよび第二トリメスターの期間に行われた各種スクリーニング法について,公表されている研究データを利用した.第一トリメスターのスクリーニングは,ダウン症候群の胎児を妊娠していた 77 件とダウン症候群の胎児を妊娠していなかった 383 件において実施された妊娠関連血漿タンパク A の血清中濃度の測定値,およびダウン症候群の胎児を妊娠していた 326 件とダウン症候群の胎児を妊娠していなかった 95,476 件において実施された超音波検査による後頸部の半透明物の検査結果によって行われていた.第二トリメスターの検査は,ダウン症候群の 77 件の妊娠とそうでない妊娠 385 件において実施されていた血清 α-フェトプロテイン,非抱合型エストリオール,ヒト絨毛性ゴナドトロピン,およびインヒビン A の測定値を組み合せたものであった.

結 果

この統合スクリーニング検査で陽性と判定するためのカットオフ値を,ダウン症候群の胎児の妊娠リスクが 1/120 になるように設定すると,ダウン症候群の検出率は 85%となり,その偽陽性率は 0.9%であった.現在一般的に使用されているスクリーニング検査では,これと同じ検出率を得ようとすると,偽陽性率が高くなるはずである(5~22%).この統合検査が,第二トリメスターのスクリーニングで現在用いられ,その偽陽性率が 5%である 3 種検査(血清 α-フェトプロテイン,非抱合型エストリオール,およびヒト絨毛性ゴナドトロピン)に取って代わるならば,ダウン症候群の検出率が上昇するとともに(85% 対 69%),偽陽性の判定による侵襲的な診断手技の施行数と正常胎児の流産が 4/5 も減少することだろう.

結 論

今回の統合検査は,現在一般的に実施されている最高の検査よりも,ダウン症候群の胎児の検出率が高く,しかもその偽陽性率が低くなっている.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1999; 341 : 461 - 7. )