The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

August 26, 1999 Vol. 341 No. 9

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

女性の冠動脈疾患予防における歩行と高強度運動とを比較した前向き研究
A Prospective Study of Walking as Compared with Vigorous Exercise in the Prevention of Coronary Heart Disease in Women

J.E. MANSON AND OTHERS

背景

冠動脈疾患の予防において高強度運動と比較したときの歩行の役割については論争が続いているが,この問題に関する女性のデータは少ない.

方 法

総身体活動,歩行,および高強度運動のスコアと,冠動脈イベントの発生との関連性について,1986 年に年齢が 40~65 歳であった女性看護師 72,488 例を対象として前向きの調査を行った.本研究の参加者は,研究組入れ時に心血管系疾患または癌の診断を受けておらず,繰り返し行った身体活動に関する詳細な質問票に回答した.8 年間の追跡調査期間中に,645 件の冠動脈イベント(非致死的心筋梗塞または冠動脈疾患による死亡)を医療記録によって確認した.

結 果

身体活動と冠動脈イベントのリスクには,強い段階的な逆相関が認められた.エネルギー消費(代謝当量[MET]スコアとして表示)が最小五分位点群の女性と比較すると,それぞれの五分位点群の女性の冠動脈イベントの年齢で補正した相対リスクは,エネルギー消費が少ない順に 0.77,0.65,0.54,および 0.46 であった(傾向の p < 0.001).この逆勾配は,多変量解析でも強い傾向を示したままであった(最小五分位点群の女性と比較したときの各五分位点群の女性の相対リスク,エネルギー消費が少ない順に 0.88,0.81,0.74,および 0.66;傾向の p = 0.002).歩行にも,冠動脈イベントのリスクとの逆相関が認められた;歩行の最大五分位点群の女性,すなわち早歩きで 1 週間に 3 時間以上に相当する歩行をしていた女性は,まれにしか歩いていなかった女性と比較した多変量相対リスクが 0.65(95%信頼区間,0.47~0.91)であった.さらに,定期的な高強度運動(≧ 6 MET)にも,同様のリスク低下との関連が認められた(30~40%).運動不足であったが,中年期以降に活動的になった女性は,運動不足のままであった女性よりも冠動脈イベントのリスクが低かった.

結 論

以上の今回の前向き研究で得られたデータは,早歩きと高強度運動が,女性における冠動脈イベントの発生の実質的かつ同程度の低下と関連があることを示している.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1999; 341 : 650 - 8. )