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July 8, 1999 Vol. 341 No. 2

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HIV-1 感染女性から産まれた乳幼児におけるサイトメガロウイルス感染と HIV-1 疾患の進行
Cytomegalvirus Infection and HIV-1 Disease Progression in Infants Born to HIV-1–Infected Women

A. KOVACS AND OTHERS

背景

サイトメガロウイルス(CMV)は,ヒト免疫不全ウイルス 1 型(HIV-1)疾患の進行における補因子として考えられている.

方 法

そこでわれわれは,HIV-1 感染女性から産まれて,前向きに追跡調査が行われた乳幼児のうち,CMV への感染の有無が確認されていた 440 例(HIV-1 感染乳幼児 75 例,HIV-1 非感染乳幼児 365 例)について評価を行った.HIV-1 疾患の進行は,C 群症状の発現(米国疾病管理予防センター[CDC]の基準による病型分類),または CD4 細胞数が生後 1 年目までに 750 cells/mm3 未満かつ生後 18 ヵ月目までに 500 cells/mm3 未満に減少と定義した.

結 果

出生時の CMV 感染の頻度は,HIV-1 感染および HIV-1 非感染の乳幼児で同程度であったが(それぞれ 4.3% 対 4.5%),HIV-1 感染乳幼児では生後 6 ヵ月目に CMV 感染率が高くなり(39.9% 対 15.3%,p = 0.001),4 歳までは高くなったままであった(p = 0.04).生後 18 ヵ月目まででは,HIV-1 と CMV の両方に感染していた乳幼児は,HIV-1 の単独感染の乳幼児よりも,HIV-1 疾患の進行の割合(70.0% 対 30.4%,p = 0.001),CDC 病型分類の C 群症状または死亡の割合(52.5% 対 21.7%,p =0.008),脳発達障害または進行性運動機能障害の割合(35.6% 対 8.7%,p =0.005)が高かった.Cox の回帰分析では,CMV 感染は HIV-1 疾患の進行のリスク上昇と関連があった(相対危険度,2.59;95%信頼区間,1.13~5.95).HIV-1 のみに感染した者のうち HIV-1 疾患の急速な進行がみられた患者では,疾患の進行が遅いかあるいは認められなかった患者より HIV-1 RNA の平均レベルは高かったが,この傾向は HIV-1 と CMV の両ウイルスに感染した小児には認められなかった.

結 論

生後 18 ヵ月目までに CMV に感染した HIV-1 感染の乳幼児では,HIV-1 単独感染の乳幼児よりも,HIV-1 疾患が進行する割合と中枢神経系疾患が発症する割合が有意に高くなっている.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1999; 341 : 77 - 84. )