The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

September 16, 1999 Vol. 341 No. 12

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

うっ血性心不全と左室機能障害の合併患者におけるドフェチリド
Dofetilide in Patients with Congestive Heart Failure and Left Ventricular Dysfunction

C. TORP-PEDERSEN AND OTHERS

背景

心房細動はうっ血性心不全の患者にしばしば発現し,一般に,臨床症状が悪化し入院することが多い.抗不整脈薬によって洞リズムを維持することもできるが,これらの薬剤には死亡のリスクを増加させるものがある.

方 法

デンマークの病院 34 施設において,症状性のうっ血性心不全で重症の左室機能障害を有していた 1,518 例の患者について検討を行った.二重盲検試験において,これらの患者の 762 例を新規の第 III 群抗不整脈薬であるドフェチリド(dofetilide)の投与に,756 例をプラセボの投与に無作為に割り付けた.治療は病院において開始したが,心臓モニタリングと投与量を調節するための 3 日間も含まれていた.主要エンドポイントはあらゆる死因による死亡であった.

結 果

追跡調査期間の中央値は 18 ヵ月間であったが,この期間中に死亡した患者は,ドフェチリド群では 311 例(41%),プラセボ群では 317 例(42%)であった(ハザード比,0.95;95%信頼区間,0.81~1.11).ドフェチリドの治療によって,うっ血性心不全の悪化による入院のリスクが有意に低下した(リスク比,0.75;95%信頼区間,0.63~0.89).また,ドフェチリドは心房細動を洞リズムに変換させるのに有効であった.すなわち,1 ヵ月後に,ドフェチリド群の試験開始時に心房細動が発現していた 190 例の患者のうちの 22 例(12%)が洞リズムを回復したのに対して,プラセボでは 201 例中の 3 例(1%)が回復しただけであった.また,いったん洞リズムに戻ると,この洞リズムの維持においても,ドフェチリドはプラセボよりも有意に効果があった(心房細動の再発のハザード比,0.35;95%信頼区間,0.22~0.57;p<0.001).トルサードドポアント(倒錯型心室頻拍)は,ドフェチリド群では 25 例(3.3%)に発現したのに対して,プラセボ群には発現した患者はいなかった.

結 論

うっ血性心不全に左室機能の低下を伴っている患者において,ドフェチリドは,心房細動の洞リズムへの変換,心房細動の再発予防,および心不全の悪化による入院のリスクの減少に有効であった.しかしながら,死亡に関連したドフェチリドの効果は認められなかった.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1999; 341 : 857 - 65. )