September 16, 1999 Vol. 341 No. 12
心室細動による院外心停止後の人工蘇生におけるアミオダロン
Amiodarone for Resuscitation after Out-of-Hospital Cardiac Arrest due to Ventricular Fibrillation
P.J. KUDENCHUK AND OTHERS
院外での心停止後の人工蘇生の成功率が抗不整脈薬によって向上するか否かについては,無作為臨床試験では確証されていない.
院外心停止の患者を対象として,プラセボを対照としたアミオダロンの静脈内投与の無作為二重盲検試験を実施した.心室細動(または脈の触れない心室頻拍)による心停止の患者で,3 回以上の胸部カウンターショックによる除細動を行っても蘇生しなかった患者を,アミオダロンの 300 mg(246 例)またはプラセボ(258 例)の静脈内投与に無作為に割り付けた.
これらの治療群の臨床プロフィールは類似していた.アミオダロン群とプラセボ群の人工蘇生を試みた平均(± SD)時間(それぞれ 42±16 分間,43±16 分間),カウンターショックの実施回数(4±3 回,6±5 回),あるいは試験薬剤投与後に抗不整脈薬の追加投与が必要であった患者割合(66%,73%)には,有意な差は認められなかった.アミオダロン群では,試験薬剤投与後に低血圧(59% 対 48%,p = 0.04)あるいは除脈(41% 対 25%,p = 0.004)が発現した患者が,プラセボ群よりも多かった.アミオダロンを投与された患者では,病院に収容されるまで生存する確率が高かった(44%,これに対してプラセボ群では 34%;p = 0.03).このアミオダロンの有益性は,患者のすべての部分集団およびすべての薬剤投与時間において一致して認められた.プラセボ群と比較したときのアミオダロン群の病院に収容されるまでの生存の補正オッズ比は,1.6(95%信頼区間,1.1~2.4;p = 0.02)であった.本試験には,退院までの生存の差を検出するのに充分な統計学的検出力はなかったが,この生存には 2 群間にわずかな差しか認められなかった.
不応性の心室性不整脈による院外心停止の患者では,アミオダロンの治療によって,病院に収容されるまでの生存の割合が高くなるという結果が得られた.この有益性が,退院までの生存に続いているものなのかどうかについては,さらに検討する価値がある.