The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

January 6, 2000 Vol. 342 No. 1

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

世界各地の男性における冠動脈心疾患による死亡と血圧の関連
The Relation between Blood Pressure and Mortality Due to Coronary Heart Disease among Men in Different Parts of the World

P.C.W. VAN DEN HOOGEN AND OTHERS

背景

血圧の上昇は,冠動脈心疾患(CHD)による死亡の危険因子の一つであることが知られている.しかしながら,血圧による CHD の死亡リスクが,各地域の住民集団間で変動するかどうかは明らかにされていない.

方 法

世界の異なる地域に住む六つの住民集団を対象として,長期の CHD 死亡率と収縮期および拡張期の血圧と高血圧症との関連についての検討を,各被験者の個体内血圧変動で補正した場合と,補正しない場合の両方において行った.血圧の測定は,本研究の開始時に,CHD の病歴を有していなかった 12,031 例の男性(年齢,40~59 歳)で実施した.25 年間の追跡調査期間中に,1,291 例の男性が CHD で死亡した.

結 果

収縮期血圧と拡張期血圧がそれぞれ約 140 mmHg および約 85 mmHg のときの 25 年間のCHDによる死亡率(年齢で標準化)には,対象地域の住民集団間に,3 倍以上の変動が認められた.米国および北欧の死亡率は高かったが(10,000 人年当り約 70 件の死亡),日本および地中海地方の南欧の死亡率は低かった(10,000 人年当り約 20 件の死亡).しかし,一定の血圧上昇による 25 年間の CHD 死亡率の相対的な上昇は,各地域の住民集団間で同程度であった.これらの地域の住民集団全体の補正なしの CHDによる死亡の相対危険度は,収縮期血圧の 10 mmHg 上昇当り 1.17(95%信頼区間,1.14~1.20),拡張期血圧の 5 mmHg 上昇当り 1.13(95%信頼区間,1.10~1.15)であったが,各被験者の個体内血圧変動で補正した場合には,これらの血圧上昇のどちらにおいても 1.28 であった.

結 論

今回検討した六つの地域の住民集団では,任意の血圧上昇による CHD の長期間死亡率の相対的増加は同程度であるが,同じレベルの血圧値における絶対的なリスクは大きく異なっている.これらの結果は,世界各地における抗高血圧療法を示唆している.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2000; 342 : 1 - 8. )