April 13, 2000 Vol. 342 No. 15
転移性乳癌に対する常用量化学療法と高用量化学療法および自家造血幹細胞移植併用との比較
Conventional-Dose Compared with High-Dose Chemotherapy plus Autologous HSCT for Metastatic Breast Cancer
E.A. STADTMAUER AND OTHERS
転移性乳癌の女性を対象とした無作為試験を実施し,高用量化学療法に造血幹細胞による救済を併用した治療を,1 ヵ月ごとの常用量化学療法のコースを延長した治療と比較した.
転移性乳癌の年齢 18~60 歳までの女性に,標準併用化学療法を 4~6 サイクル実施した.この寛解導入化学療法によって完全寛解または部分寛解が得られた患者を,カルボプラチン+チオテパ+シクロホスファミドの高用量投与に自家造血幹細胞移植を併用した 1 コースの治療,またはシクロホスファミド+メトトレキサート+フルオロウラシルの常用量を最大で 24 サイクル投与する治療に無作為に割り付けた.主要エンドポイントは生存であった.
追跡調査期間の中央値は 37 ヵ月であった.本試験に組み入れられた 553 例の患者のうち,寛解導入化学療法によって完全寛解が得られた患者は 58 例,部分寛解が得られた患者は 252 例であった.これらの奏効患者のうち,110 例が高用量化学療法と造血幹細胞の治療に割り付けられ,89 例が常用量化学療法に割り付けられた.intention-to-treat(ITT)解析では,3 年目までの全生存には二つの治療群間に有意差は認められなかった(移植群が 32%,常用量化学療法群が 38%).また,疾患の進行までの期間の中央値にも,この二つの治療群間に有意差は認められなかった(高用量化学療法と造血幹細胞の併用治療が 9.6 ヵ月間,常用量化学療法が 9.0 ヵ月間).
転移性乳癌の女性において,常用量化学療法によって完全寛解または部分寛解が得られた後にすみやかに実施する高用量化学療法と自家造血幹細胞移植の併用治療は,常用量の維持化学療法と比較して,患者の生存を改善しない.