April 20, 2000 Vol. 342 No. 16
低脂肪・高食物繊維食に大腸腺腫の再発に対する効果はない
Lack of Effect of Low-Fat, High-Fiber Diet on the Recurrence of Colorectal Adenomas
A. SCHATZKIN AND OTHERS
大腸腺腫は,ほとんどの大腸癌の前病変であるが,その再発を食事療法の介入によって阻止できるという仮説の検証を行った.
本試験の無作為化前 6 ヵ月以内に切除された 1 個以上の腺腫が,組織学的に大腸腺腫と確認された 35 歳以上の男女 2,079 例を,次の 2 群のどちらかに無作為に割り付けた:集中的カウンセリングの提供と,低脂肪(総カロリーの 20%)で,食物繊維(1,000 kcal 当り 18 g の食物繊維)と果物・野菜(1,000 kcal 当り 3.5 杯)を多く含んだ食事療法を実施させる介入群,および健康的な食事の摂り方についての標準的なパンフレットの提供と,普段通りの食事を摂らせる対照群.本試験への被験者の組入れは,徹底的な結腸内視鏡検査にて腺腫性ポリープを完全に切除してから行った;被験者は,本試験を約 4 年間続け,無作為化後 1 年目および 4 年目に結腸内視鏡検査を受けた.
全体では,無作為化された被験者のうちの 1,905 例(91.6%)が試験を完了した.試験を完了した介入群の被験者 985 例と対照群の被験者 947 例のうち,それぞれ 39.7%および 39.5%に少なくとも 1 個の腺腫の再発が認められた;補正なしのリスク比は 1.00(95%信頼区間,0.90~1.12)であった.腺腫の再発が認められた被験者の平均(±SE)の再発病変数は,介入群が 1.85±0.08 個,対照群が 1.84±0.07 個であった.大きな腺腫(最大径が 1 cm 以上)の再発率,および進行腺腫(最大径が≧ 1 cm または絨毛成分が≧ 25%を占める病変,あるいは癌も含まれるような高度の異形成を示している病変と定義した)の再発率には,2 群間に有意な差は認められなかった.
低脂肪で,食物繊維,果物,野菜を多く含んだ食事療法を行っても,大腸腺腫の再発のリスクは変わらない.