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May 25, 2000 Vol. 342 No. 21

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急性心筋梗塞後の初回血管形成術の実施量と生存
The Volume of Primary Angioplasty Procedures and Survival after Acute Myocardial Infarction

J.G. CANTO AND OTHERS

背景

心血管系の原因による死亡と,医師個人または病院が実施した待機的心手技(冠動脈形成術,ステント留置,あるいは冠動脈バイパス術)の件数とのあいだには負の関係があることが認められている.しかしながら,急性心筋梗塞の患者については,初回血管形成術や血栓溶解療法を受けた患者数が少ない医療センターよりも多いセンターで治療を受けるほうが,より良好な治療成績が得られているのかどうかということはわかっていない.

方 法

心筋梗塞の国民登録(the National Registry of Myocardial Infarction)のデータを解析し,再灌流療法(初回血管形成術または血栓溶解療法)を受けた患者数と再灌流の治療後の院内死亡とのあいだに存在する関係を明らかにした.合計で 450 の病院を,初回血管形成術の実施量によって四つに分類した.そして,これらの初回血管形成手技の実施量が,この手技を受けた患者の院内死亡の独立した予測因子であるかどうかを,多量ロジスティック回帰モデルを用いて調べた.血栓溶解療法についても,これと同様の解析を 516 の病院で血栓溶解療法を受けた患者について行った.

結 果

初回血管形成術を受けた患者の院内死亡は,初回血管形成術の実施量が最大群の病院でこの手技を受けた患者では,実施量が最小群の病院でこの手技を受けた患者よりも 28%低かった(補正相対危険度,0.72;95%信頼区間,0.60~0.87;p<0.001).この院内死亡率にみられた低下は,治療患者 100 人当りの死亡者数が 2.0 人少なかったということを表していたが,各病院の心筋梗塞の総患者数,入院年度,および補助的な薬物療法の実施の有無とは独立していた.これに対して,血栓溶解療法については,血栓溶解介入の実施量と血栓溶解療法を受けた患者の院内死亡とのあいだには有意な関連は認められなかった(院内死亡率は実施量が最大群の病院の患者では 7.0%,これに対して実施量が最小群の病院の患者では 6.9%,p = 0.36).

結 論

十分な介入能力を備えている米国の病院では,初回血管形成術を受ける患者の死亡率は血管形成術の実施量が多くなるほど低下するが,血栓溶解療法については,その実施量と死亡とのあいだに何の関連も認められなかった.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2000; 342 : 1573 - 80. )