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June 29, 2000 Vol. 342 No. 26

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突然死の恐れのある冠動脈疾患の患者を鑑別するための電気生理学的検査
Electrophysiologic Testing to Identify Patients with Coronary Artery Disease Who Are at Risk for Sudden Death

A.E. BUXTON AND OTHERS

背景

冠動脈疾患があり,心室機能異常,および非持続型心室頻拍をもつ患者は死亡率が高い.しかしながら,これらの患者におけるリスクの層別のための電気生理学的検査の有用性については,明らかにされていない.

方 法

われわれは,冠動脈疾患があり,左室駆出率が 40%以下で,無症候性の非持続型心室頻拍のある患者を対象として,電気生理学的検査を実施した.これらの患者で持続型心室頻拍性不整脈を誘発させることができた患者について,電気生理学的検査に基づいた抗不整脈療法の実施,または非実施のいずれかに無作為に割り付けた.主要エンドポイントは,不整脈による心停止または死亡であった.頻拍性不整脈を誘発できなかった患者を登録して,追跡調査を行った.電気生理学的検査の予後的価値を評価するために,登録された 1,397 例の患者の転帰を,抗不整脈療法を実施しない群に無作為に割り付けられた 353 例の頻拍性不整脈の誘発可能患者の転帰と比較した.

結 果

これらの患者には,中央値で 39 ヵ月間の追跡調査が行われた.Kaplan–Meier 法による解析では,不整脈による心停止または死亡の 2 年発生率と 5 年発生率は,登録患者ではそれぞれ 12%および 24%であったのに対して,抗不整脈療法を実施しない群に割り付けられた頻拍性不整脈の誘発可能患者では 18%および 32%であった(補正後の p<0.001).5 年後までの全死亡率は,頻拍性不整脈の誘発可能患者では 48%,登録患者では 44%であった(補正後の p = 0.005).頻拍性不整脈が誘発されなかった患者では,頻拍性不整脈の誘発可能患者よりも,不整脈による死亡と分類される傾向がより低かった(不整脈による死亡,それぞれ 45%および 54%;p = 0.06).

結 論

冠動脈疾患があり,左室機能不全および無症候性の非持続型心室頻拍をもつ患者については,持続型心室頻拍性不整脈を誘発させることができない患者のほうが,持続型頻拍性不整脈を誘発させることができる患者よりも,突然死または心停止のリスクが有意に低く,全死亡率も低い.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2000; 342 : 1937 - 45. )