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June 29, 2000 Vol. 342 No. 26

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家族性大腸腺腫症に対するシクロオキシゲナーゼ-2 阻害薬セレコキシブの効果
The Effect of Celecoxib, a Cyclooxygenase-2 Inhibitor, in Familial Adenomatous Polyposis

G. STEINBACH AND OTHERS

背景

家族性大腸腺腫症の患者は,大腸癌のリスクがほぼ 100%である.この疾患に対する非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)による化学予防効果は,これらの薬剤のシクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)の阻害作用に関連している可能性がある.

方 法

家族性大腸腺腫症の患者を対象として,選択的 COX-2 阻害薬であるセレコキシブ(celecoxib)の大腸ポリープに対する効果を検討した.二重盲検法によるプラセボを対照とした比較試験において,77 例の患者を,セレコキシブ(1 回 100 mg または 400 mg の 1 日 2 回投与)またはプラセボの 6 ヵ月間の治療に無作為に割り付けた.患者には,内視鏡検査を試験開始時と終了時に実施し,撮影した写真およびビデオテープから,治療の効果は試験開始時からの平均パーセント変化として表した.

結 果

ベースライン時に,ポリープ数を数えた部位におけるポリープの平均(±SD)個数は,プラセボに割り付けられた 15 例では 15.5±13.4 個,セレコキシブ 100 mg 1 日 2 回投与群に割り付けられた 32 例では 11.5±8.5 個,セレコキシブ 400 mg 1 日 2 回投与群に割り付けられた 30 例では 12.3±8.2 であった(3 群間比較で p = 0.66).6 ヵ月後には,セレコキシブ 400 mg 1 日 2 回投与群の患者では,大腸ポリープの平均個数が 28.0%減少し(プラセボとの比較で p = 0.003),ポリープ量(ポリープ径の合計)が 30.7%減少したのに対して(p = 0.001),プラセボ群ではそれぞれ 4.5%および 4.9%減少しただけであった.さらに,400 mg 1 日 2 回投与の治療を受けた群では,多発大腸腺腫の程度が改善されていることが,ビデオテープを検討した内視鏡専門医委員会によって確認された.セレコキシブ 100 mg 1 日 2 回投与群では,大腸ポリープの平均個数およびポリープ量の減少は,それぞれ 11.9%(プラセボとの比較で p = 0.33)および 14.6%(p = 0.09)であった.有害事象の発現は 3 群間で同程度であった.

結 論

家族性大腸腺腫症の患者では,COX-2 阻害薬であるセレコキシブの 1 回 400 mg 用量を 1 日 2 回投与する 6 ヵ月間の治療によって,大腸ポリープの個数を有意に減少させることができる.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2000; 342 : 1946 - 52. )