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February 3, 2000 Vol. 342 No. 5

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コレラに対するアミラーゼ抵抗性デンプンと経口補液の併用
Amylase-Resistant Starch plus Oral Rehydration Solution for Cholera

B.S. RAMAKRISHNA AND OTHERS

背景

コレラによって引き起される脱水は,ブドウ糖を基本とした標準的な経口補液療法によって補正されるが,この療法では下痢を軽減することはできない.短鎖脂肪酸は,吸収されなかった炭水化物から結腸で生成されるが,この短鎖脂肪酸がナトリウム吸収を亢進させる.そこで,われわれは,コレラ患者を対象として,非吸収性のデンプン(すなわち,アミラーゼによる消化に抵抗性を示すデンプン)を経口投与したときの,糞便で失われる体液損失と下痢の持続期間に対する効果を調べるための試験を実施した.

方 法

48 例の青年および成人のコレラ患者を,標準的な経口補液療法の治療(16 例),この標準療法の経口補液溶液に米粉を 50 g/L の割合で加えた治療(16 例),あるいは標準療法の経口補液溶液にアミラーゼ抵抗性デンプンであるアミロース高含有のトウモロコシのデンプンを 50 g/L の割合で加えた治療(16 例)に,無作為に割り付けた.主要エンドポイントは,糞便重量(試験開始から 48 時間までの各 12 時間ごとの糞便重量)と普通便に戻るまでの時間とした.

結 果

試験開始後 12~24 時間,24~36 時間,および 36~48 時間の各期間の平均(±SD)糞便重量は,抵抗性デンプン群(2,206±1,158 g,1,810±1,018 g,および 985±668 g)が,標準療法群(3,251±766 g,2,621±1,149 g,および 2,498±1,080 g; それぞれ p = 0.01,p = 0.04,p = 0.001)よりも有意に軽かった.また,抵抗性デンプン療法の試験開始後 36~48 時間の糞便重量は,米粉療法よりも有意に軽かった(985±668 g 対 1,790±866 g,p = 0.01).下痢の平均持続時間についても,抵抗性デンプン療法(56.7±18.6 時間)が,標準療法の単独(90.9±29.8 時間,p = 0.001)や米粉療法(70.8±20.2 時間,p = 0.05)よりも有意に短かった.デンプンの糞便中排泄も,抵抗性デンプン療法(32.6±30.4)が,標準療法(11.7±4.1 g,p = 0.002)や米粉療法(15.1±8.4 g,p = 0.01)よりも多かった.

結 論

青年および成人のコレラにおいては,経口補液溶液に抵抗性デンプンを添加することによって,糞便で失われる体液損失が減少するとともに,下痢の持続期間も短縮される.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2000; 342 : 308 - 13. )