The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

March 9, 2000 Vol. 342 No. 10

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

静脈血栓症の危険因子としての血液凝固第 XI 因子高値
High Levels of Coagulation Factor XI as a Risk Factor for Venous Thrombosis

J.C.M. MEIJERS, W.L.H. TEKELENBURG, B.N. BOUMA, R.M. BERTINA, AND F.R. ROSENDAAL

背景

第 XI 因子は,血液凝固の内因系経路の成分の一つであり,トロンビンの生成に寄与している.そして,このトロンビンは,フィブリンの形成と線維素溶解に対する防護の両方に含まれている.第 XI 因子の欠損は出血と関連しているが,この因子の高値が血栓症においてどのような役割を果たすのかは研究されていない.

方 法

Leiden 血栓性素因研究(the Leiden Thrombophilia Study)に組み入れられた患者の第 XI 因子抗原の濃度を測定した.この Leiden 血栓性素因研究は,深部静脈血栓症のリスクに対する遺伝性および後天性の因子の寄与を推定することを目的としてデザインされた大規模な地域住民をベースとした症例対照研究であった(研究対象者は,合計で,患者が 474 例,対照が 474 例であった).相対リスクの指標としてオッズ比を算出した.

結 果

第 XI 因子の値が 90 パーセンタイル以下の被験者に対する,90 パーセンタイルを超えていた被験者の年齢および性別で補正した深部静脈血栓症のオッズ比は,2.2(95%信頼区間,1.5~3.2)であった.第 XI 因子の値と静脈血栓症のリスクとのあいだには,用量反応関係が認められた.経口避妊薬の服用,ホモシステイン値,フィブリノーゲン値,第 VIII 因子,性別が女性,および年齢が高齢などの他の危険因子でオッズ比を補正しても,この結果は変わらなかった.また,血栓症の遺伝性の危険因子として知られている因子(たとえば,プロテイン C またはプロテイン S の欠損症,抗トロンビン欠損症,第 V 因子の Leiden 突然変異,あるいはプロトロンビンの G20210A 突然変異など)を保因していた被験者を除外しても,このオッズ比は同じであった.これらのことは,第 XI 因子値の上昇に関連した静脈血栓症のリスクは,血栓症の危険因子として知られている既知の因子のいずれかに起因するものではないということを示している.

結 論

第 XI 因子の高値は深部静脈血栓症の危険因子の一つであり,地域住民のうち高い方 10%の人々が含まれる範囲の第 XI 因子の値では,血栓症のリスクが 2 倍に上昇している.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2000; 342 : 696 - 701. )