The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

March 30, 2000 Vol. 342 No. 13

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

2 型糖尿病の危険因子としての高血圧症と降圧療法
Hypertension and Antihypertensive Therapy as Risk Factors for Type 2 Diabetes Mellitus

T.W. GRESS, F.J. NIETO, E. SHAHAR, M.R. WOFFORD, AND F.L. BRANCATI

背景

いままでの研究で,チアジド系利尿薬とβ遮断薬が 2 型糖尿病の発症を促進させる可能性が示唆されている.しかし,それらの研究の結果は必ずしも一致しておらず,その多くは,転帰データが不適切なことや潜在的な交絡によって,制限のあるものになっている.

方 法

糖尿病に罹患していない 45~64 歳の成人,12,550 例を対象とした前向き研究を行った.開始時に,薬剤使用の調査やランダムゼロ血圧計による血圧測定など,広範な健康評価を行った.新規糖尿病の発生率は,3 年後と 6 年後に空腹時血糖値を測定して評価した.

結 果

年齢,性別,人種,教育,脂肪過多,糖尿病の家族歴,身体活動レベル,その他の健康に関連した生活習慣,合併症を同時に補正すると,のちに糖尿病を発症するリスクは,チアジド系利尿薬を服用していた高血圧症の患者では,降圧療法を受けていなかった患者に比べて大きくなかった(相対ハザード,0.91;95%信頼区間,0.73~1.13).同様に,アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬を服用していた患者とカルシウム拮抗薬を服用していた患者のリスクも,薬物療法を受けていなかった患者に比べて大きくなかった.これに対して,β遮断薬を服用していた高血圧症の患者では,のちに糖尿病を発症するリスクが 28%高かった(相対ハザード,1.28;95%信頼区間,1.04~1.57).

結 論

医師は,糖尿病のリスクに関する懸念があるからといって,高血圧症の非糖尿病成人に対するチアジド系利尿薬の処方を控えるべきではない.β遮断薬の使用については,糖尿病のリスクを上昇させているように思われるが,この有害作用は,心血管系イベントのリスクを低下させることが証明されているβ遮断薬の有益性と比較して評価しなければならない.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2000; 342 : 905 - 12. )