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October 5, 2000 Vol. 343 No. 14

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原因不明の妊娠後期胎児死亡経験女性における血液凝固因子の突然変異
Mutations in Coagulation Factors in Women with Unexplained Late Fetal Loss

I. MARTINELLI AND OTHERS

背景

血液凝固第 V 因子の Leiden およびプロトロンビンの遺伝子変異は,静脈血栓症の独立した危険因子であるが,ホモシステイン代謝に関与する酵素の,メチレンテトラヒドロ葉酸還元酵素をコードする遺伝子の変異も静脈血栓症のリスクを上昇させているのではないかという議論がある.これらの変異のいずれかが,妊娠後期胎児死亡リスクの上昇に関連しているのかどうかは明らかにされていない.

方 法

原因不明の妊娠後期胎児死亡(妊娠 20 週目以降における胎児の死亡)のエピソードの初発女性 67 例と,1 回以上の正常妊娠の経験があり,妊娠後期に胎児が死亡したことのない女性 232 例について検討を行った.これらのすべての女性に,3 つの遺伝子変異が存在するかどうか検査を行った.本試験では,これら以外の血栓性の病態を有していた女性は除外した.

結 果

第 V 因子またはプロトロンビンの遺伝子変異は,妊娠後期に胎児が死亡した女性 67 例中 11 例(16%)と,対照女性 232 例中 13 例(6%)で同定された.第 V 因子およびプロトロンビンの遺伝子変異の保有者における妊娠後期胎児死亡の相対リスクは,それぞれ,3.2(95%信頼区間,1.0~10.9),3.3(95%信頼区間,1.1~10.3)であった.また,メチレンテトラヒドロ葉酸還元酵素の遺伝子変異については,胎児が死亡した女性の 13%と対照女性の 20%が,ホモ接合性変異であった(相対リスク,0.8;95%信頼区間,0.5~1.2).

結 論

血液凝固第 V 因子とプロトロンビンのいずれの遺伝子変異も,妊娠後期胎児死亡のリスクと関連しており,リスクは約 3 倍に上昇する.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2000; 343 : 1015 - 8. )