The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

November 9, 2000 Vol. 343 No. 19

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

移植後のヒトヘルペスウイルス 8 感染症に関連した骨髄不全
Bone Marrow Failure Associated with Human Herpesvirus 8 Infection after Transplantation

M. LUPPI AND OTHERS

背景

ヒトヘルペスウイルス 8(HHV-8)感染症は,カポジ肉腫の発症とまれなリンパ増殖性疾患に関連づけられている.

方 法

移植後の 3 例の患者を対象として,非悪性疾患との関連という観点からの HHV-8 感染症の検討を,分子学的手法,血清学的手法,in situ ハイブリット形成法,および免疫組織化学分析を用いて行った.

結 果

これらの患者の 2 例は,HHV-8 血清陽性の同じ死体ドナーからそれぞれ腎臓の提供を受けた 4 ヵ月目に,HHV-8 の初期感染症が発症した.HHV-8 のセロコンバージョンとウイルス血症は,このうちの 1 例では汎発性カポジ肉腫と同時に発現し,もう 1 例では発熱,脾腫,血球減少症,および形質細胞増多症による骨髄不全の急性症候群と併発した.後者の患者の形成不全骨髄から採取した未成熟の造血前駆細胞には,HHV-8 が潜伏した核内抗原が存在していた.HHV-8 ゲノムの高度可変遺伝子である K1 遺伝子の塩基配列が,ドナーの末梢血細胞とレシピエントの血清から得られた両方の HHV-8 で同一であることが示されたので,ドナーからレシピエントに伝播したことが確証された.残りの 1 例の非ホジキンリンパ腫であった HHV-8 血清陽性患者にも,自家末梢血幹細胞移植後に HHV-8 のウイルス血症が発現した.この移植後の潜伏 HHV-8 の再活性化は,発熱と形質細胞増多症による骨髄形成不全の発現と関連していた; 他の感染を示すような根拠は認められなかった.この形成不全骨髄には,HHV-8 の転写と潜伏核内抗原が発現していたが,移植前に採取した正常な骨髄の 2 検体には,これらの発現は認められなかった.

結 論

免疫が抑制された状態にある患者においては,HHV-8 の初期感染と潜伏 HHV-8 の再活性化が,非新生物性の合併症と関連している可能性がある.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2000; 343 : 1378 - 85. )