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November 16, 2000 Vol. 343 No. 20

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可逆性心筋機能障害の同定におけるコントラスト増強磁気共鳴画像法の使用
The Use of Contrast-Enhanced Magnetic Resonance Imaging to Identify Reversible Myocardial Dysfunction

R.J. KIM AND OTHERS

背景

造影剤を投与して撮影する磁気共鳴画像法(MRI)は,壁運動の程度や梗塞の古さにはかかわらず,心筋の可逆性の虚血性傷害と非可逆性の虚血性傷害を区別するのに使用できるということが,最近の試験によって示されている.そこで,われわれは,冠動脈疾患の患者において,このコントラスト増強 MRI の結果を,心室収縮の異常領域が血行再建後に改善されるか否かを予測するのに使用できるという仮説をたてた.

方 法

心室機能障害の患者 50 例に対して,それぞれの患者が外科的あるいは経皮的な血行再建術を受ける前に,ガドリニウム増強 MRI を実施した.造影剤によって高度に増強された部位の経壁的範囲が,心筋壊死巣の経壁的範囲を表わしていると仮定した.同一部位における局所の収縮性の程度は,41 例の患者において,血行再建前後に撮影したシネ MRI によって測定した.

結 果

血行再建前に撮影したコントラスト増強 MRI については,50 例の患者のうちの 40 例において心筋組織に高度の増強が認められた.高度の増強が認められた患者の高度増強領域と非高度増強領域の画像強度の差は,そのすべての患者において 6 SD よりも大きかった.血行再建前に撮影された 2,093 枚の心筋断層像を解析した結果,804 枚(38%)には収縮性の異常,694 枚(33%)には高度増強領域の存在が確認された.機能障害が確認された 804 枚のすべての心筋断層像を分析した結果,血行再建後に局所の収縮性が改善される可能性は,血行再建前に撮影した心筋断層像の高度増強領域の経壁的範囲が大きくなるにつれて低下していった(p<0.001).例えば,血行再建前の心筋断層像のうち,高度増強がまったく認められなかった 329 枚については,そのうちの 256 枚(78%)で血行再建後に収縮性が増大したのに対して,高度増強が組織の 75%を超えて認められた 58 枚については,血行再建後に収縮性が増大したのは 1 枚だけであった.機能障害は確認されたものの非高度増強である領域の血行再建前の左室に占める割合が,血行再建後の全平均の壁運動スコアの改善度(p<0.001)および駆出率の改善度(p<0.001)と強く関連していた.

結 論

可逆性の心筋機能障害は,冠動脈の血行再建前に撮影したコントラスト増強 MRI によって同定することが可能である.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2000; 343 : 1445 - 53. )