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November 16, 2000 Vol. 343 No. 20

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バベシア症の治療におけるアトバコンとアジスロマイシン
Atovaquone and Azithromycin for the Treatment of Babesiosis

P.J. KRAUSE AND OTHERS

背景

バベシア症は,ニューイングランド地方南部の動物の風土病として知られ,ダニに媒介されるマラリア様の疾患である.クリンダマイシンとキニーネの 1 コースの投与が標準治療であるが,有害反応の発現頻度が高く,失敗に終わることがある.これに代わる治療として,アトバコン(atovaquone)とアジスロマイシンの併用が有望である.

方 法

マサチューセッツ州のナンタケット島,ロードアイランド州のブロックアイランド島,およびコネチカット州の南部において,生命を脅かすほどではないバベシア症の 58 例の被験者を対象として,二つのレジメンの前向き非盲検無作為化試験を実施した.これらの被験者を,アトバコン(750 mg を 12 時間ごと)とアジスロマイシン(治療 1 日目は 500 mg,2 日目以降は 250 mg)を 7 日間投与する群(40 例)と,クリンダマイシン(600 mg を 8 時間ごと)とキニーネ(650 mg を 8 時間ごと)を 7 日間投与する群(18 例)に割り付けた.

結 果

副作用は,アトバコンとアジスロマイシンの投与を受けた被験者では 15%から報告されたのに対して,クリンダマイシンとキニーネの投与を受けた被験者では 72%から報告された(p<0.001).アトバコンとアジスロマイシンで発現頻度の高かった副作用は,下痢,発疹であり(いずれも被験者の 8%),クリンダマイシンとキニーネでは,耳鳴(39%),下痢(33%),聴覚の低下(28%)であった.治療開始後 3 ヵ月の時点で症状が消失していた割合は,アトバコンとアジスロマイシンの投与を受けた被験者では 65%,クリンダマイシンとキニーネの投与を受けた被験者では 73%であった(p = 0.66).6 ヵ月以上症状が持続していた患者はいずれの群にもいなかった.割り付けられたレジメン完了後 3 ヵ月の時点で,いずれの被験者の血液にも,顕微鏡検査で寄生虫は認められず,Babesia microti の DNA も検出されなかった.

結 論

バベシア症の治療において,アトバコンとアジスロマイシンのレジメンは,クリンダマイシンとキニーネのレジメンと比較して有効性は同程度であり,発現する有害反応が少ないことと関連する.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2000; 343 : 1454 - 8. )