The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

July 20, 2000 Vol. 343 No. 3

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

無症候性成人を対象とした結腸直腸癌のスクリーニングのための大腸内視鏡検査の施行
Use of Colonoscopy to Screen Asymptomatic Adults for Colorectal Cancer

D.A. LIEBERMAN AND OTHERS

背景

結腸直腸癌のスクリーニングにおける大腸内視鏡検査の役割は,明確にはされていない.

方 法

そこで,在郷軍人医療センターの 13 施設において,進行結腸腫瘍の有病率と発生部位,また,遠位結腸に腫瘍を有する,あるいは有しない無症候性の患者(年齢範囲,50~75 歳)における近位結腸の進行腫瘍のリスクを調べることを目的として,大腸内視鏡検査を実施した.進行結腸腫瘍の定義は,直径 10 mm 以上の腺腫,繊毛状腺腫,高度異形成の腺腫,または浸潤癌とした.なお,複数の腫瘍性病変を有していた患者については,もっとも進行した病変に基づいて進行結腸腫瘍の分類を行った.

結 果

本研究では,組み入れのためのスクリーニングを 17,732 例に行い,3,196 例を研究に組み入れた.このうち 3,121 例(97.7%)で,結腸全域の検査を行うことができた.これらの患者の平均年齢は 62.9 歳で,96.8%は男性であった.大腸内視鏡検査で 1 個以上の腫瘍性病変が発見された患者は 37.5%で,直径が 10 mm 以上の腺腫または繊毛状腺腫が 7.9%,高度異形成の腺腫が 1.6%,浸潤癌が 1.0%であった.左結腸曲よりも遠位の結腸部分にポリープが発見されなかった 1,765 例では,48 例(2.7%)に,近位結腸に進行腫瘍の発生が認められた.一方,遠位結腸に大きな腺腫(≧10 mm)または小さな腺腫(<10 mm)が発見された患者では,この遠位結腸に腺腫が発見されなかった患者よりも,近位結腸に進行腫瘍が発生している傾向が高かった(オッズ比,≧10 mm の腺腫で 3.4 [95%信頼区間,1.8~6.5],<10 mm の腺腫で 2.6 [95%信頼区間,1.7~4.1]).しかし,近位結腸に進行腫瘍が発見された 128 例の 52%には,遠位結腸に腺腫は発生していなかった.

結 論

大腸内視鏡検査を用いたスクリーニングによって,無症候性成人の進行結腸腫瘍を発見することができる.そのような腫瘍の多くは,S 状結腸鏡検査では発見されないと考えられる.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2000; 343 : 162 - 8. )