December 14, 2000 Vol. 343 No. 24
股関節全置換術後の症候性静脈血栓塞栓症による再入院の予測因子
Predictors of Rehospitalization for Symptomatic Venous Thromboembolism after Total Hip Arthroplasty
R.H. WHITE AND OTHERS
股関節全置換術後の症候性静脈血栓塞栓症は,患者が退院した後に発症するのがもっとも一般的であるということが,最近の研究によって示されている.しかし,これらの症候性血栓塞栓症のイベントと関連している危険因子については,十分には明らかにされていない.
カリフォルニア州のメディケアの記録から入手した 1993~96 年までの診療データを用いて,股関節全置換術後 3 ヵ月以内に血栓塞栓症のために再入院した 65 歳以上の患者 297 例を同定した.そして,血栓塞栓症の発症との関連が考えられる人口統計学の変数と手術および医学的な変数について,これらの患者と 592 例のマッチしていない対照患者との比較を行った.
全体では,血栓塞栓症が発症した患者の 89.6%と対照患者の 93.8%が,圧縮空気,ワルファリン,エノキサパリン(Enoxaparin),または未分画ヘパリンの単独または併用治療を受けていた.さらに,血栓塞栓症が発症した患者の 22.2%と対照患者の 29.7%は,退院後にワルファリンの治療を受けていた.体格指数(BMI)(体重[Kg]を身長[m]の 2 乗で除した値)は,25 以上の値になると血栓塞栓症による再入院との関連が認められ,そのオッズ比は 2.5 であった(95%信頼区間,1.8~3.4).多変量モデルを用いた解析では,血栓塞栓症のリスクを減少させることに関連していた予防レジメンは,体格指数が 25 未満の患者における圧縮空気(オッズ比,0.3; 95%信頼区間,0.2~0.6)と,退院後のワルファリン治療(オッズ比,0.6; 95%信頼区間,0.4~1.0)のみであった.
股関節全置換術を受けた患者では,体格指数が 25 以上になると,血栓塞栓症による再入院との関連が認められた.そして,このような血栓塞栓症を独立して予防していたのは,体格指数が 25 未満の患者における圧縮空気の治療と,退院後のワルファリンの予防投与であった.