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December 14, 2000 Vol. 343 No. 24

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カリフォルニア州の煙草抑制プログラムと紙巻き煙草の消費量および心疾患による死亡の減少との関連
Association of the California Tobacco Control Program with Declines in Cigarette Consumption and Mortality from Heart Disease

C.M. FICHTENBERG AND S.A. GLANTZ

背景

カリフォルニア州の煙草抑制プログラム(the California Tobacco Control Program)は,有権者によって制定され,紙巻き煙草への付加税を財源とし,1989 年に施行された大規模で積極的な反煙草プログラムである.このプログラムが,カリフォルニア州における紙巻き煙草の消費量の減少と喫煙率の低下を促進させることになった.高い心疾患のリスクは禁煙後に急速に低下することから,今回,われわれは,このプログラムが心疾患による死亡率の低下に関連しているという仮説の検討を行った.

方 法

1980~97 年までのカリフォルニア州および米国における一人当りの紙巻き煙草の消費量と,年齢で補正した心疾患による死亡率のデータを,重回帰分析のモデルに適合させた.この回帰分析には,米国のカリフォルニア州以外の州における死亡率と,煙草抑制プログラムが承認された 1988 年以降の死亡率と,このプログラムが中止された 1992 年以降の死亡率に変化を与える可能性があった変数を組み入れた.

結 果

1989~92 年までの期間のカリフォルニア州における一人当りの紙巻き煙草の消費量と心疾患による死亡者数の減少率は,米国の他州と比較して,1989 年以前の減少率よりも有意に高く,1 年当りの消費量は年間 2.72 箱ずつ減少し(p = 0.001),100,000 人-年当りの死亡者数は年間 2.93 人ずつ減少していた(p<0.001).これらの減少率は,このプログラムが中止された 1992 年から低くなった(1 年当りの消費量は年間 2.05 箱ずつ減少 [p = 0.04],100,000 人-年当たりの死亡者数は年間 1.71 人ずつ減少 [p = 0.03]).これらの問題にもかかわらず,このプログラムに関連して,1989~97 年におけるカリフォルニア州の心疾患による死亡者数は,それ以前の米国の他州との比較における傾向を維持したと仮定した場合の期待死亡者数よりも,33,300 人減少していた.また,1992 年以降にこのプログラムの効果が減弱されたことによって,このプログラムで得られた最初の有効性が持続していたと仮定したときの期待死亡者数よりも,実際の死亡者数は 8,300 人増加していた.

結 論

大規模で積極的な煙草抑制プログラムは,心疾患による死亡者数を短期的に減少させることに結びついている.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2000; 343 : 1772 - 7. )