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December 28, 2000 Vol. 343 No. 26

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退役軍人保健局病院で医療を受ける患者とメディケア患者とで比較した心筋梗塞の転帰
Outcome of Myocardial Infarction in Veterans Health Administration Patients as Compared with Medicare Patients

L.A. PETERSEN, S.-L.T. NORMAND, J. DALEY, AND B.J. MCNEIL

背景

退役軍人保健局(VHA)病院で医療を受ける患者は,非 VHA 病院よりも質の低い医療を受けるという意見がある.われわれは,VHA 病院の医療の質を評価するために,急性心筋梗塞の転帰を,VHA 施設で治療を受けた患者と非 VHA 施設で治療を受けた患者とで,併存疾患や急性心筋梗塞の重症度などの交絡の可能性のある因子を補正して比較した.

方 法

VHA 病院 81 病院から退院した 2,486 例の退役人と,非 VHA 病院 1,530 病院から退院した 29,249 例のメディケア(高齢者医療保険)患者で検討を行った.標本は,急性心筋梗塞と診断されて退院した,65 歳以上の男性に限定した.この二つの標本コホートにおいて,併存疾患,急性心筋梗塞の重症度,30 日死亡率・1 年死亡率を比較した.

結 果

VHA 患者は,メディケア患者よりも,高血圧(64.3% 対 57.3%),慢性閉塞性肺疾患または喘息(30.9% 対 23.5%),糖尿病(34.8% 対 29.0%),脳卒中(20.4% 対 14.2%),痴呆(7.2% 対 4.8%)の病歴の記録が,有意に多い傾向が認められた(それぞれの病歴のすべての比較において p<0.001).多変量ロジスティック回帰と,VHA 患者とメディケア患者をマッチさせたペア 2,265 組の解析の両方で,30 日死亡率と 1 年死亡率に有意差は認められなかった.マッチさせたペア解析では,5 歳ごとの年齢群で平均した 30 日死亡率の差(メディケア患者の死亡率-VHA 患者の死亡率)は-0.8%(95%信頼区間,-2.8~1.3),1 年死亡率の差は-1.3%(95%信頼区間,-3.9~1.3)であることが示された.

結 論

VHA 患者は,メディケア患者よりも併存疾患が多かった.それにもかかわらず,死亡率には,HVA 患者とメディケア患者とのあいだで有意差は認められなかった.この結果は,急性心筋梗塞に対する医療の質が同程度であることを示している.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2000; 343 : 1934 - 41. )