非グルココルチコイド免疫抑制レジメンと併用した 7 例の 1 型糖尿病患者に対する膵島移植
Islet Transplantation in Seven Patients with Type 1 Diabetes Mellitus Using a Glucocorticoid-free Immunosuppressive Regimen
A.M.J. SHAPIRO AND OTHERS
膵島移植を受けた 1 型糖尿病患者の登録データからは,移植 1 年目にインスリン療法から離脱している患者はわずか 8%にすぎないということが示されている.
1 型糖尿病で,重症の低血糖症と代謝の不安定性の病歴を有する 7 例の連続した患者に,膵島移植を行うとともに,シロリムス(Sirolimus),タクロリムス(Tacrolimus),およびダクリズマブ(Daclizumab)の併用投与によるグルココルチコイドを含まない免疫抑制療法を実施した.膵島は,膵管を冷却した精製コラーゲナーゼで灌流することによって単離し,外因性タンパク質非含有の培養液で消化および精製し,ただちに経皮的経肝門脈塞栓の方法によって移植した.
7 例のすべての患者が,膵島相当量が平均(±SD)で 11,547±1,604/kg 体重の膵島塊の移植を受けた後,速やかにインスリン療法から離脱した(追跡調査期間の中央値,11.9 ヵ月間;範囲,4.4 から 14.9 ヵ月間).すべてのレシピエントが 2 人のドナーの膵臓から単離した膵島を必要とし,1 例のレシピエントでは,インスリン療法から離脱するには,2 人のドナーから提供された膵島の 3 回目の移植が必要であった.グリコシル化ヘモグロビンの平均値は,移植後には,すべてのレシピエントにおいて正常になった.血糖値の変動幅の平均振幅は,インスリン療法から離脱した後に有意に収斂した(移植前には 198±32 mg/dL [11.1±1.8 mmol/L] であったのが,初回移植後には 119±37 mg/dL [6.7±2.1 mmol/L],インスリン療法から離脱した後には 51±30 mg/dL [2.8±1.7 mmol/L] にまで狭まった;p<0.001).移植以降には,低血糖症性昏睡のエピソードの新たな発現は認められなかった.合併症も軽度で,追跡調査期間中の脂質濃度にも有意な上昇は認められなかった.
1 型糖尿病の患者において得られた今回の観察結果は,膵島移植を,グルココルチコイドを含まない免疫抑制療法と併用して十分な膵島塊を注入する場合には,代謝管理が大きく改善されることによって,インスリン療法から離脱した状態が得られるということを示している.