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July 27, 2000 Vol. 343 No. 4

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重症の肺気腫患者に対する肺気量減量術の効果
Effect of Lung-Volume–Reduction Surgery in Patients with Severe Emphysema

D. GEDDES AND OTHERS

背景

肺気量減量術は重症肺気腫の多くの患者に行われているものの,その有益性については確認されていない.そこで,われわれは,肺気腫の患者を対象として,この手術の無作為比較対照試験を実施した.ブラ(気腫性肺胞内嚢胞)のみの患者は,ブラの切除術によって改善することが判明しているので,本試験からは除外した.

方 法

適格と考えられた患者には,積極的な内科治療を行い,禁煙プログラムと 6 週間の外来リハビリテーションプログラムが完了してから,外科治療または内科治療の継続に無作為に割り付けた.15 例の患者の無作為化が終了した後に,試験への組み入れ基準を変更して,一酸化炭素ガス交換値が予測値の 30%未満あるいは往復歩行距離が 150 m 未満の患者を除外することにしたが,それは,これらに該当するような 5 例の患者が死亡したためであった(3 例が外科治療,2 例が内科治療を受けた患者であった).

結 果

初回の評価を受けた 174 例の被験者のうち,24 例が内科治療の継続に,24 例が外科治療に無作為に割り付けられた.どちらの治療群も,治療開始時の一秒量(FEV1)の中央値は 0.75 L,往復歩行距離の中央値は 215 m であった.死亡した患者は,外科治療群では 5 例(21%),内科治療群では 3 例(12%)であった(p=0.43).6 ヵ月後の FEV1 の中央値は,外科治療群では 70 mL 増加したのに対して,内科治療群では 80 mL 減少した(p=0.02).6 ヵ月後の往復歩行距離の中央値は,外科治療群では 50 m 延長したのに対して,内科治療群では 20 m 短縮した(p=0.02).QOL の尺度による評価にも同様の変化が認められ,追跡調査の 12 ヵ月の時点においても維持されていた.しかし,外科治療群の 19 例の生存患者うちの 5 例については,この治療の有益性はまったく認められなかった.

結 論

肺気量減量術は,重症肺気腫の特定の患者においては,FEV1,歩行距離,および QOL を改善させることができる.しかしながら,この治療による死亡の減少については明らかではない.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2000; 343 : 239 - 45. )