The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

August 24, 2000 Vol. 343 No. 8

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

兄弟,託児所の利用,小児期における喘息と喘鳴のリスク
Siblings, Day-Care Attendance, and the Risk of Asthma and Wheezing during Childhood

T.M. BALL AND OTHERS

背景

年上の兄弟がいる幼児や託児所に預けられている幼児は,感染のリスクが高くなっているが,そのことが逆に,喘息などのアレルギー疾患に罹患するのを防いでいるのではないかと考えられる.しかし,他の小児との接触とその後の喘息の発症との関連を調べた研究では,一致した結果が得られていない.

方 法

ツーソン小児呼吸研究(Tucson Children''s Respiratory Study)の一部として,出生時から追跡調査を行っていた 1,035 例の小児を組み入れた研究を実施し,喘息の発症率(6~13 歳のあいだに医師に診断された喘息エピソードの 1 回以上の発生と定義した)と,頻繁な喘鳴(過去 1 年間における喘鳴エピソードの 3 回以上の発生と定義)の有病率を,家庭で一緒に暮らす兄弟の人数と,幼児期における託児所の利用との関連で検討した.

結 果

家庭で一緒に暮らす年上の兄弟が 1 人以上いる場合,喘息の発症から防御され(年上の兄弟が 1 人増えるごとの補正相対リスク,0.8;95%信頼区間,0.7~1.0;p=0.04),生後 6 ヵ月までの託児所の利用も同様であった(補正相対リスク,0.4;95%信頼区間,0.2~1.0;p=0.04).頻繁な喘鳴については,家庭または託児所で他の小児と接触する機会が多かった小児は,他の小児と接触する機会がほとんどなかった小児やまったくなかった小児と比較して,2 歳の時点では有する割合が高かったが(補正相対リスク,1.4;95%信頼区間,1.1~1.8;p=0.01),6 歳(補正相対リスク,0.8;95%信頼区間,0.6~1.0;p=0.03)から 13 歳(補正相対リスク,0.3;95%信頼区間,0.2~0.5;p<0.001)までのあいだは有する割合が低かった.

結 論

幼い小児は,家庭で年上の兄弟に接触したり託児所で他の小児と接触したりすることによって,その後の小児期における喘息および頻繁な喘鳴の発症から防御される.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2000; 343 : 538 - 43. )