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April 19, 2001 Vol. 344 No. 16

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持続性中耳炎に対する中耳腔換気用チューブの早期または晩期挿入が 3 歳の時点における発達状態に及ぼす影響
Effect of Early or Delayed Insertion of Tympanostomy Tubes for Persistent Otitis Media on Developmental Outcomes at the Age of Three Years

J.L. PARADISE AND OTHERS

背景

乳幼児および年少小児における中耳腔換気用チューブの挿入の主要な適応症は,持続的な滲出性中耳炎であり,このことは,この病態が,会話,言語,認知,および心理社会的発達が持続的に障害される原因になるかもしれないという懸念を反映している.しかしながら,このような関連性を示した証拠は確定的なものではなく,中耳腔換気用チューブの挿入が発達障害を防ぐという証拠も得られていない.

方 法

生後 2~61 日の健康な乳児 6,350 例を組み入れ,定期的に中耳滲出液の評価を行った.3 歳までに,中耳滲出液が持続的に認められた 429 例を,中耳腔換気用チューブをできるだけ早期に挿入する治療,あるいは 9 ヵ月後まで待機して滲出液が持続していれば中耳腔換気用チューブを挿入する治療に無作為に割り付けた.このうち 402 例には,3 歳の時点で会話,言語,認知,心理社会的発達の評価を行った.

結 果

3 歳までに中耳腔換気用チューブの挿入を受けた小児は,早期治療群では 169 例(82%),晩期治療群では 66 例(34%)であった.3 歳の時点で,早期治療群と晩期治療群とのあいだに,次の項目に有意差は認められなかった:言葉の相違を理解する能力を測定する「異なる語彙数」(Number of Different Wordsの平均(±SD)スコア(それぞれ 124±32 と 126±30),会話-構音の能力を測定する「子音の訂正の割合」(Percentage of Consonants Correct–Revised)の平均(±SD)スコア(85±7 対 86±7),マッカーシーの小児能力尺度の総合認知指標(General Cognitive Index of McCarthy Scales of Children''s Abilities)の平均(±SD)スコア(99±14 対 101±13),そして,受容言語,文章の長さ,文法的複雑性,親–子のストレス,行動に関する評価指標の平均(±SD)スコア.

結 論

3 歳未満の持続性中耳炎の小児に中耳腔換気用チューブをすぐに挿入しても,3 歳の時点では,測定できる発達状態の改善は認められない.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2001; 344 : 1179 - 87. )