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April 26, 2001 Vol. 344 No. 17

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口腔白斑症の患者の予後マーカーとしての DNA 量
DNA Content as a Prognostic Marker in Patients with Oral Leukoplakia

J. SUDBØ AND OTHERS

背景

口腔内の白斑症は,予後のわるい扁平上皮癌に移行する可能性がある.口腔癌の危険因子は同定されているが,口腔白斑症の個々の患者の転帰を推測する信頼性の高い予測因子は同定されていない.

方 法

DNA 倍数性を臨床転帰の予測に使用できるかどうかを調べるために,上皮異形成として分類された口腔白斑症の患者を 150 例同定し,その病変の核内 DNA 量(倍数性)を測定した.追跡調査のために年 1 回,来院してきたときに採取した生検検体は,異型性を組織学的に判定し,盲検にて DNA 量によって分類した.そして,この DNA の倍数性と組織学的程度との関連から,無病生存の評価を行った.追跡調査の平均期間は 103 ヵ月間(範囲,4~165 ヵ月間)であった.

結 果

上皮異形成と確証された 150 例の患者のうち,癌が発生した患者は 36 例(24%)であった.これらの 150 例の患者の初回診断時の病変は,105 例(70%)が 2 倍体(正常)病変,20 例(13%)が 4 倍体(正常と異常の中間)病変,25 例(17%)が異数体(異常)病変であった.2 倍体病変であった 105 例の患者では 3 例(3%)に癌が発生したのに対して,異数体病変であった 25 例の患者では 21 例(84%)であった.したがって,2 倍体病変の陰性適中率は 97%,異数体病変の陽性適中率は 84%となる.また,4 倍体病変であった 20 例の患者では,12 例(60%)に癌が発生した.1 回目の DNA 量の測定から癌が発生するまでの平均時間は,異数体病変の患者群では 35 ヵ月間(範囲,4~57 ヵ月間),4 倍体病変の患者群では 49 ヵ月間(平均,8~78 ヵ月間)であった(p = 0.02).累積無病生存率は,2 倍体病変の患者群では 97%,4 倍体病変の患者群では 40%,異数体病変の患者群では 16%であった(p<0.001).

結 論

口腔白斑症の細胞の DNA 量は,口腔癌のリスクの予測に使用可能である.

※この論文は 2006 年 11 月 2 日に撤回されました。

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2001; 344 : 1270 - 8. )